骨盤を矯正したい!という相談、多いです。
そういった方に、「オーダーメイドではないけど一般的に使える」体操を紹介したいと思います。
骨盤矯正ベルトやクッション・椅子に頼らずに、自分の力で骨盤を矯正していきましょう。
巷で噂の骨盤矯正での効果、本当?
Googleで骨盤矯正の効果について調べてみると、色々と書かれているなあと思います。
その書かれていることを信じて取り組んでいる方もいらっしゃると思いますが、それ「だけ」だと痛い目を見るのではないかと、少し危惧しています。
巷で言われていることについて、私なりの意見を述べたいと思います。
骨盤矯正でダイエット?
骨盤矯正がダイエットにつながるということですが、半分本当、半分嘘だと思います。骨盤の歪みがあるということは、下半身の筋肉の使い方がまばらになったり、内臓でいうと生殖器や消化器の機能が低下します。ホルモンバランスの崩れにより女性らしいラインの崩れにつながるし、消化器の機能低下は排泄の力を弱めてしまい、ダイエット中の便秘等のもとになります。
だからと言って、骨盤矯正だけを見てしまうと、食事等その他の部分がおろそかになってしまいますよね。ダイエットというのは「習慣」という意味があります。
習慣は、運動習慣もあれば、食習慣もあり、生活そのものの習慣もあります。基本的に私は、「今のあなたの身体が、必然があってそういう身体です」と言っています。もし太っていると思うならば、それなりの理由があります。運動しているのに太っている人は、生活に乱れがあるかもしれないし、食事に乱れがあるかもしれません。
運動していないのに綺麗な身体の人は、その他の部分がしっかりとしているのかもしれません。当たり前のことですけど、骨盤矯正だけで痩せられるならみんなとっくにやってます。違いますか?他の習慣の乱れを見ずに骨盤矯正に「逃げて」いる人は自分の生活を見直す方を優先した方が良いかもしれません。
骨盤矯正で内臓の機能改善?
ダイエットのところでも言いましたが、骨盤の歪みが関連する内臓は特に生殖器と消化器です。それらの内臓機能が骨盤の歪みから誘発されることがあります。
しかし、「内臓にストレスがかかったから骨盤が歪んだ」というケースもあるので、その場合には内臓にかかったストレスを「生理・物理・心理」の面から分析し、改善へとアプローチしていく必要があります。
でないと、骨盤を外的な刺激によって矯正したとしても、「生理・物理・心理」いずれかのストレスで内臓が機能低下し、それに関連する筋肉のバランスが崩れ、結果として骨盤の歪みの再発ということに繋がります。
骨盤矯正が不妊の改善に?
骨盤の内側には確かに生殖器が男性も女性もあるので、それと生殖機能というのは密接な関係があります。
しかし、これもそれ「だけ」ではありません。もちろん骨盤の矯正も大切ですが、その他になぜ子宮に問題があるのかを「生理・物理・心理」の面から身体全体の分析をしていく必要があります。ご自身だけの問題なのか、周りとの環境を含めた問題なのか。
そういったことまで分析していかなければならないくらい、小さな視点では決して解決出来ない問題ですし、軽視してはいけないと思います。心身の調和が取れていない状態だと、女性としての機能も働きづらいのでしょうね。いろんな方を観てきて、シンプルにそう思います。
骨盤矯正で身長が伸びる?
骨盤矯正とセットでの問題としてよく『O脚』『X脚』が挙げられます。
確かにこの問題が取れればその歪み分の身長は伸びるかと思います。
継続することで本来の身長に戻るでしょうね。
これは8割ほど本当だと思います。
骨盤矯正のための運動・ストレッチ方法って?改善5ステップとは。
上に挙げた、よく巷で言われている効果が、それ「だけ」では表れないということが分かった上で、骨盤の歪みが気になるという方は下に紹介する骨盤体操やストレッチを実施してみてください。
基本的に「無理は禁物」です。無理は逆にストレスにすらなる可能性があります。
1.骨盤をほぐしていこう。
まず最初は、骨盤帯全体をほぐしていくところから始めていきます。
行うこととしては「ウイングストレッチ」です。
仰向けになり、膝を立て、反動を使わずに膝を左右に倒していきます。
ゆっくりと左右合計20回。休みを挟みながら2〜3セット行っていきましょう。
より骨盤をほぐしていきたい方は万歳をして同様に行います。
2.骨盤の左右の歪みを正そう。
次に、骨盤の左右の歪みを正していきましょう。
最初に、ご自分の骨盤の左右の歪みをチェックしていきます。
鏡の前に立って、腰骨のあたり(骨盤の上縁)に手を当てます。
その時の、手の高さを左右で比べてみてください。
・高い方には「トレーニング」
・低い方には「ストレッチ」
これをしていきます。
最初は高い方からです。腰が高かった方を上にして横向きに寝てください。
身体をまっすぐに保ちながら、足を横にあげていきます。
アブダクションという種目です。
こちらに動画もありましたので載せておきます。これをさきほど腰骨が高かった方に実施していきます。
低かった方に関しては「ストレッチ」です。お尻からお尻の横が伸びるストレッチをしていきましょう。
膝を立てて座り、クロスし、膝を抱えることでお尻が伸びるかと思います。
形としてはこうです。
深呼吸3〜4回くらいがひとつの時間の目安ですが「伸びたな〜」と思うまで行ってくださいね。
骨盤底筋群を締めよう。
次は、骨盤底筋群を締めていきましょう。
ボディコントロールがしっかりと出来る方は、自在に中の方に力を入れることが出来るのですが、初心者の人は難しいかもしれませんので、その感覚を身につけることの出来る種目を行っていきましょう。
種目としては、壁に手をついて、つま先を少し開いた状態で立ちます。
そのままかかとを上げて、つま先立ちになります。
この時、思い切りお尻の穴を締めるように頑張ります。
お尻の穴にも筋肉がついています。肛門括約筋という筋肉です。
それが骨盤の内側へと続く筋肉です。
だからこそ、そこを締めます。
10秒ほど、「最大限つま先立ち」「最大限お尻の穴を締める」ことをキープして、ゆっくりとスタートの体勢に戻ります。
股関節と骨盤の連動を高めよう。
骨盤帯のソケットの部分に、ももの骨がはまり、関節を形成しています。股関節のことですね。
その連動性を高めていくことも大切です。
ここで何をするかというと「かえる体操」というエクササイズです。難しく言うと合蹠運動とも言います。
仰向けになって、足の裏を合わせます。
足の裏が離れない範囲で足を伸ばしていきます。
ゆっくりと反動や勢いを使わずに10回ほど往復させましょう。
骨盤と全身の連動を高めよう。
最後に、骨盤と全身の連動を高めていきます。
まずは種目の紹介をしますね。
種目は「カラダでアーチ」と呼んでいる種目です。
仰向けになって身体をまっすぐにして、全力でお尻を上げるというシンプルなものです。
なぜこれが骨盤と全身の連動を高めることになるかと言うと、脊柱(背骨)への刺激がポイントになります。
今まで行ってきた骨盤のエクササイズ等で、おおまかな歪みはセルフでも取れます。
その状態を身体に覚えてもらう必要がありますよね。
身体中で神経が特に多く集まっているのは「背骨」です。
その背骨にしっかりと刺激を加えることで、今の状態を神経に送り、それを脳みそに送ることが出来ます。
その神経ー筋のパターンを覚えるということが、より良い身体の状態を「クセづける」ということにつながるんですよね。
そういった理由から、骨盤矯正エクササイズの最後にこれを取り入れてみてください。
おまけ:パーソナルセッションで行う骨盤矯正は
パーソナルセッションで骨盤矯正を行う時の流れは
(1)現状把握を左右、前後、ねじれから行います。
(2)それがなぜ起こってしまったかを他の身体の歪みとの関係も含みながら総合的に判断していきます。
(3)オーダーメイドで、その人にあったエクササイズやストレッチを提供していきます。
(4)時期を見極め、さらに骨盤の歪みを綺麗にしていくためのエクササイズやストレッチを追加、入れ替えを行います。
このようにしていきます。整体や整骨院と違って「自分でも治す」というところに主眼をおきます。
だからこそ「なぜなってしまったを腑に落とすこと」が大切になってくるわけですね。
その「なぜ」の部分を徹底的に分析するわけです。
ベルトやクッション、骨盤矯正のための道具は本当に必要か?
巷ではどうやら骨盤ベルトなるものが流行っているようです。
また、骨盤矯正用のクッションや椅子なども登場しているようです。
これらについてどう考えているか、私なりの意見を述べたいと思います。
骨盤矯正ベルトは、はっきり言って要らない。「あるもの」で代用した方が効果的だよ。
見出しの通り、骨盤矯正ベルトははっきり言って買う必要ありません。高価なものだと1万円とかするんですね。高い!そしてこの骨盤ベルトですが、筋機能の弱化反応を引き起こしてしまいます。物理的には安定するかもしれませんが、筋機能という生理的な反応は弱くなるんです。すると、筋で保持するという能力も落ちるので、「骨盤ベルトが無いとダメな状態」になってしまいます。
これは避けたいところです。
そこで登場するのが、1本の「ひも」です。
この「ひも」が骨盤ベルトの代わり、いや、それ以上のものになります。
ひもを骨盤ベルトと同じように、大転子のあたりに強く巻きます。それだけです。
ひもは綿のひも。ダイソーの手芸のコーナーにも売っています。なんとお値段108円です!(ダイソーですからね)
そしてこのひも、筋機能は低下するどころか向上します。
ひもを巻いてみましょう。
巻き方はこのように二つに折って、輪っかの中に紐を通します。
そうして紐を軽く引っ張ります。きつくする必要は全くありません。
このように簡易的に留めておくだけで良いです。
ためしに、この状態で重いものを持ってみてください。
そのあとにひもを取って同じように持ってみてください。重さの感覚がまるで違うと思います。
これは骨盤ベルトでは得られないことなんです。
詳しくは、ヒモトレ創始者の小関氏の著書にありますので、関心が湧いた方は読んでみると良いと思います。
骨盤矯正椅子やクッションは、導入としては良いが、依存しないこと。
骨盤矯正椅子やクッションは、導入としてはおすすめできますが、それなしで生活できません!という状態になるのは避けていきたいところです。
クッションありなしとで変わるのは骨盤の傾きです。
そこで、しっかりと骨盤を立てて座るということを身体に覚えさせます。
おすすめなのは、椅子に座って万歳をし、足を上げ下げするというもの。
骨盤矯正枕は、自分の状態が把握出来ないと更に歪ませる危険性も。
骨盤矯正枕なんていうのもあるらしいですが、これは自分の骨盤の状態がわかっていないとさらに歪みがひどくなる可能性があります。
特に前後・ねじれの状態がどうであるか、専門の人に分析をしてもらって(私にLINEやメールしていただいても結構です)、その上で使用することをおすすめします。そしてクッションや椅子同様、これに依存しないようにしていくのが鉄則です。上に紹介した骨盤矯正の5ステップにしっかりと取り組んで、骨盤矯正枕いらずのからだを目指しましょう。
ととのえて、こつばん。
以上、骨盤矯正について書いてきました。
最初に言った通り、骨盤の矯正は「継続」が何よりも大切です。
継続した時間が長ければ長いほど、「ちょっとしたストレスでは歪まなくなり」ます。
逆にすぐにやめてしまった方は元の歪みに戻るのがとても早いです。
毎日やると飽きてしまうという方は1日おき、2日おきでも構いません。
自分が続けられる頻度と回数で、「気軽に・気楽に」続けてみてくださいね。

東京学芸大学では、保健体育を専攻し、その後、日本ホリスティックコンディショニング協会ホリスティックコンディショナーの資格をとり、パーソナルトレーナーになる。活動歴7年。累計1000人以上のセッションを行う渋谷のパーソナルトレーニングジム「ととのえて、からだ。」の代表トレーナー。解剖学や生理学、栄養学など知識が豊富。