ゴルフをしている方の腰痛のお悩みをよく聞きます。
その原因は何なのでしょうか?何かゴルフ腰や筋肉痛を治すストレッチや治療はあるのでしょうか?
腰痛対策のストレッチからスイングを変える術まで、トレーナーのこんさんが惜しみなく公開していきたいと思います。
ゴルフでの腰痛、その原因は?
ゴルフでの腰痛の原因は間違いなく「力み」にあります。
特に男性はその力に任せてスイングをしてしまうので、回旋(身体をひねる動作)に関わる筋肉への刺激が過剰な状態になってしまいます。
その状態が続くことで力みが溜まり、痛みと変化してしまうんですね。
今回この記事では
(1)痛みをストレッチ等で取っていくこと
(2)痛みを出さない「力まない」立ち方やスイングを身につけること
(3)「力」に関する意識を変換すること
以上のことを目的としていきたいと思います。
参考になれば嬉しいです。
ゴルフ腰や筋肉痛を治すストレッチは?
まずは「痛いものは痛い」ですので、しっかりと腰痛を軽減させていきましょう。
ゴルフにおいて過剰に硬くなる部位は身体の裏側の流れ、そして身体の側面の流れに関わることなのでその部分について伸ばしていきます。
そしてこのストレッチですら「力んで力任せにやろう」とする人が多いので注意が必要です。
なんでもかんでも力でやるのは本当におすすめしません。私のモットーは「力は入れれば入れるほど脆くなる」です。
力を入れないストレッチの方法も紹介しますので参考にしてください。
身体の裏側のストレッチ
身体の裏側のストレッチは長座体前屈を行います。
一応ノーマルのフォームを確認しましょう。
足を伸ばして座ります。
膝を伸ばすことを大前提に、ゆっくりと身体を前に倒していきましょう。
力任せにすることなく、前に倒すことに身を任せるのです。
なんとなくその感覚が分からない人は次のことを試してみてください。
このように紐を輪っか状にして、前習えの幅で手首を通します。
そして同じように長座体前屈をします。
この時の意識は、身体を曲げるというよりも紐を前に運ぶという紐主体の意識を持ってみてください。あとは紐のテンションを保つのもポイントです。
こういう様に「別のところに意識を持つ」ことで身体の余計な力みが抜けたりします。
この紐を使った様々なエクササイズについては小関トレーナーのヒモトレに詳しく載っているので見てみてください。
身体の側面のストレッチ
身体側面のストレッチは2つ紹介します。
1つは座位で開脚ストレッチです。
開脚して座り、万歳をします。
そのまま左右にゆっくりと倒していきます。これも横に倒れることに身を任せるという意識で行っていきましょう。
立っても行うと脚の側面も伸びます。
やり方に関しては、上で紹介しているヒモトレの表紙の写真の様に、シンプルに紐を手首に通して左右に倒すだけです。
紐無しの状態と比べるとよくわかるかと思います。
四股踏みストレッチ
足を肩幅強に開いて、そのまましゃがみこみます。お尻の辺りをほぐすこと、そして骨盤の後ろ側の調子を戻すこと、更には腰椎4番の調子を戻す(腰椎4番はしゃがむ動作の起点です)を目的としています。
一番深くしゃがんだところで少しだけ上下左右に動いたりすると良いと思います。
ゴルフでの腰痛対策、スイングを変える為の基礎練習をしませんか?
ストレッチでしっかりと腰の周りをほぐしたら、やはり腰痛を招くもととなったスイングの改善をしていかなくてはなりません。
たくさんゴルフをされている方の腰痛のケアのお手伝いをさせて頂きましたが、以下の3つを特に重視して変えていくことで改善に向かう方が多かったです。
この3つを「腑に落とす」くらいの状態になった時、スイングが「力を入れていないのに前より飛ぶ様になった」という感想を頂きます。
ちなみに私はゴルフは打ちっぱなし2回くらいしか経験はありません。
しかし、身体の基礎部分に関しては日常生活だろうとどんなスポーツ競技だろうと同じですので、以下のことはゴルフ以外にも当てはまります。
それではそのポイントを見ていきましょう。
立ち方を変える。
まずは基本となる立ち方を変えることです。
立ち方の基本は「自然体で立つ」こと。
例えばですが
・背筋を伸ばして
・顎を引いて
・おへそを少し引っ込めて
といったものは力を入れている状態なので「自然体」ではありません。
自然体に力は要りません。そして更には、力を入れれば入れるほど姿勢は崩れやすいものになります。
立ち方はどうすれば良いのか。一番簡単なのは「末端の意識を強めること」です。
まずは、足の末端を確認します。
このように地面に足先をこすりつけます。足の末端はここだぞ〜と脳に教えていきましょう。
そして立った時にそこだけ意識するようにします。
本当にそれだけです。
そして次。足の開きの角度を調節します。
足の開きというのは、解剖学的な自然角度は30度から45度です。
足の先が平行状態というのは、実は内股になっているのです。
ので、それくらい自然に開いて、足の末端への意識を強めていきましょう。
近くに協力者がいるならばその立ち方の時と、足を平行にして力を入れて踏ん張った時の立ち方とで強度を比べてみると良いと思います。
前後左右から押してみてどちらが「柔軟に対応出来るか」「バランスが崩れづらいか」を感じてみてくださいね。
ひねる動作を変える。
次はひねる動作を「自然体」にしていきましょう。
ここでもまた紐を使います。
紐を柔軟の時と同じ様に手首に通し、「紐を動かすように」ひねっていきます。この時に、紐のテンションを保つのをお忘れなく。
そして、紐を取って再度身体をねじります。こうすると先ほどよりも行かないと思うのですが(柔軟性がありすぎる人は逆に行かなくなります。それが"自然"なんです)、どこが力むことで可動域が出ないのかが明確になります。
そしたら次はそれをゴルフのスイングと同じ軌跡で行ってみましょう。
同じ様にどこに力みがあることで可動域が制限されているのかがわかるはずです。
そして段々紐の輪っかの幅もクラブを持つ幅にしていきます。実際の運動に近づけるというわけですね。
意識を変える。
さて、最後に「力」に関する意識の変換を行っていきましょう。
私は、力は「入れる」ものだと思っていません。
力は「入る」ものなんです。
動けば動いただけ、必要に応じて筋肉に刺激が「入って」くるのです。
「入れる」という考えは、まず筋肉が収縮してそれから動くという考えですよね。
試しにね、椅子から立ち上がる時に
・何も考えずにすっと立ち上がる
・一度体重を足にしっかり乗せて、「力を入れて踏ん張ってから」立ち上がってみてください。
もう分かりましたよね?後者の方が圧倒的に立ち上がりにくいはずです。
力を「入れる」考えだと、これがそのままスポーツに応用されてしまうのです。
だから、ただただ「動く方向」を意識して、ただただ動くだけです。
そうすると、必要な筋刺激は必要に応じて入ってきます。
それでは、ゴルフにおいて「動くこと」を主眼に置くとどうなるか?
例えば「立つ」ということに置き換えた時。以下の写真をごらんください。
「立つ」という意識で立つと、ものすごく力を使うんです。試してみると分かります。
しかし、「歩き出す」や「伸び上がる」といった意識、写真に書いてある矢印を意識してシンプルに「動く」とものすごく楽ですよね。
これをゴルフに生かします。
こうなりますね。
「打つ」という意識で動作を行うと、ものすごく力を使います。「振る」という「打つその先の動作」を意識することで、余計な力みが消え、ただただ動くことにつながります。
プロゴルファーのフォームの連続写真等が載っていたりしますけど、あれはその人が動いた「結果」そうなっただけのことです。その形を力を入れて真似すればするほど力みが出てきて腰痛になる可能性が高くなりますよ。
人間はその大きさや質量に個体差があります。AさんとBさん、例え2人が同じ軌跡で「動いた」としても結果としての形は異なるはずです。
シンプルに動くことに集中する。打つことじゃないですよ。動くことです。
それを力みなく行う。そのための練習が立つことであり、ひもを使ってひねることであり、意識を変えることなんです。
実際のセッションでもこの3点について徹底的に行って動作を楽にして頂いています。
ととのえて、ひねり。
以上ゴルフの腰痛についてお話をしてきました。
ゴルフは非常に動きの速いスイング動作を伴うからこそ、力みを抜いていかなくてはならないのですが、それを力でどうにかしようとする方が多すぎます。
そうして力が無いから痛くなるのだと言って体幹トレーニングや足腰のトレーニングに励まれる方が多すぎます。
そうではなくて、身体の使い方と意識の変換を行ってあげることで、身体はもっと楽に、そして強く使ってあげられるのになあといつも思っています。
上記のトレーニングや意識改善をしっかり行って、怪我の無いゴルフ生活をしてください。
腰痛が良くなることを願っております。

東京学芸大学では、保健体育を専攻し、その後、日本ホリスティックコンディショニング協会ホリスティックコンディショナーの資格をとり、パーソナルトレーナーになる。活動歴7年。累計1000人以上のセッションを行う渋谷のパーソナルトレーニングジム「ととのえて、からだ。」の代表トレーナー。解剖学や生理学、栄養学など知識が豊富。