ひどい肩こりにも筋トレは一役買ってくれます。
一部では肩こりを改善するのに筋トレは逆効果と言われていますがそんなことはありません。
肩こりの原因を知って、改善や予防のための筋トレやストレッチを行い、すっきりとした毎日を手に入れましょう。
家でダンベルやペットボトルを使って行う簡単なものから、ジムで行う本格的なものまで、肩こり解消の筋トレをたくさん紹介したいと思います。
肩こりの原因は?
肩こりになる原因は千差万別ですが、私が実際のセッションで見てきた症例を挙げていきたいと思います。
最初に言ってしまうと、身体の使い方の問題と心理的なストレスから血行不良を招き肩こりになる方が多いようです。
体の使い方の問題から
肩こりになる人で多いのは「デスクワークで1日中PCの前に座っています」という方です。
姿勢が崩れて首や肩の血行不良が起こり痛みが出る場合や、目の疲労や手の疲労から間接的に肩こりが生まれてくる場合などがあります。
あとは姿勢の悪さ、特に骨盤が過度に後傾している人は肩こりになりやすいように思います。
そういう姿勢の方は猫背がセットなのですが、猫背というのは首が前に出るので、前に出た首を持ち上げるために視線を上げますよね。そうすると首の後ろから肩にかけての筋肉が緊張してしまうのです。
デスクワークで肩が凝っているという人はこのあと紹介する筋トレや体操を行ってみてください。
心理的なストレスから
次は心理的なストレスからです。
身体は心理的なストレスからも痛みを感じるように出来ています。これに関しては2014年に「ネガティブな感情が身体に与える影響」という研究の中でも発表されています。
特にどんなストレスかというと、いろんな方を見てきた感じだと主に2つあるかなと思います。
・「ねばならない」という過度な義務感・責任感・緊張感
・内へ内へ考え込んでしまうような不安、恐れ、根を詰める等
これらが特に肩こりには影響してそうです。
「ねばならない」という思いが強いと、自分にも他人にも刺々しく厳しくなってしまいます。
そんな方は尺沢というツボに痛みがあるはず。
この辺りを押して痛い人はそれに当てはまります。肘から指3本分くらいが場所の目安です。
内へ内へ考え込むくせがある人は腎臓の弱りがあるかも。
照海(しょうかい)というツボを押して痛かったらそれが当てはまります。
ここら辺にあります。かかとと内くるぶしの間あたりです。
どちらも痛い場合には結構ストレスが溜まっている証拠なので後ほど紹介するストレッチをしっかりと行ってみてください。
肩こり解消・予防の筋トレやストレッチは?
ここからは実際に肩こり解消・予防の為のストレッチや筋トレを紹介していきたいと思います。
そしてデスクワークの方の為に、手の使い方のコツと視線の置き方のコツもお話したいと思いますので参考にしてみてください。
肩こり解消ストレッチ2選
ストレッチですが2種類紹介したいと思います。
自分のストレスに合わせて行ってみてください。
ねばならないが強く、「尺沢」が痛かったあなた
この方におすすめなストレッチはタオルを使います。
このように後ろでタオルを組み、前屈をして腕を上げていきます。少し突っ張るところまで頑張って上げて、そこからは息を吐くのと一緒に部分的に硬く突っ張っているところを溶かすようにしていきます。
部分的な伸びから全体的な伸びへと変わってきたところで止めます。部分的な突っ張りが取れない場合は何回かに分けてこれを行い、全体的な伸びに変化するまで行ってください。ピンクの矢印の方向へ伸びる意識をすると伸びやすいかと思います。
参考→肩こりだけではなく便秘や肌荒れにも!肩のリリーストレッチでスッキリ爽快♪
そして必ずこのストレッチを行ったら楽な姿勢(仰向けがおすすめ)で休んでください。思った以上の可動域に身体がびっくりするので休憩を挟みます。
内へ内へ思考がこもりやすく「照海」が痛かったあなた
この方にオススメなストレッチは「長座体前屈」です。
腎臓、そして関連する膀胱のツボの流れである経絡は身体の内側や裏側を通るラインです。
そのため、このラインを伸ばすストレッチである「長座体前屈」を行っていきます。
この時の注意は2つあります。
・膝は伸ばしたまま
・つま先は天井に向ける
前に行けば行くほどにこの2つが崩れてくるので、この2つが崩れない範囲で前屈を行ってください。
これも、部分的な伸びから全体的な伸びへと変化したときが止めどきです。
身体の裏側の硬さが取れることで結果的に肩や首の硬さも取れます。
どちらのストレッチにも共通すること
どちらも経絡のラインを伸ばすストレッチになります。そこで、ビフォーアフターでそれぞれのツボの痛みを比べることを忘れないでください。
肩のストレッチであれば尺沢、身体の裏側のストレッチであれば照海、これをストレッチ前後で押し、痛みがどう変化するかを観察します。
ストレッチ後に痛みが小さくなっていればストレッチ成功です。
痛みが変わらなければ時間が足りないかやり方が合っていないかなので、見直してもう一度実践してみてください。
目の疲れも感じている人は
目の疲れも感じている人は、目のトレーニングをしてほぐしていきましょう。
最初にチェックすることは、首を左右にひねり、視野を確認することです。
目の筋肉は頚椎(首の骨)と関わるので、目の筋肉がほぐれると首の骨の動きが良くなります。前後でしっかりと比較をしましょう。
そしてまぶたを閉じ、まぶたの上から軽く10秒ほど目をマッサージします。
そのあと、閉じたままで結構ですので、上下左右に5秒ずつ眼球を動かします。
思いっきり右を5秒見て、次は思いっきり左を5秒見て、、、といった具合です。
そうしてもう一度視野を確認すると、視野が広くなっていることが確認出来るはずです。それで成功です。
あとは温タオルで温めるなども効果的かと思います。
デスクワークの人が出来ること
先述のデスクワークのことですが、手の使い方と視線の置き方にコツがあります。
まず手の使い方。
労宮というツボを意識して生活をしてみてください。
労宮はここです。
そこを意識してマウスをクリックしたりタイピングしたりするだけです。意識するだけという簡単なものです。
なれるまではすぐに意識がどっかに行っちゃいますが我慢我慢。始業最初の3分は等のルールを作って習慣化していきましょう。
不思議と、手を使う動作が丁寧になるのが感じられるかと思います。私は体感としてそうでした。
そして視線の置き方ですが、PCだけではなくPCを包み込むような視線の置き方をします。
こうすることで
・姿勢が勝手に良くなる
・目の疲れ度合いが変わってくる
等の効果が望めます。これも手の使い方同様、習慣化をのんびりと行ってみてください。
それに座り方。
座る時、意識はどこにありますか?一番体重が乗っているお尻にある方は要注意です。
ポイントとしては足に意識を置くこと。足先であればあるほど良いです。
例としてはこの写真の赤丸がNGで水色の丸のような感じです。お尻よりも膝や足先に意識を置いて座ってみましょう。骨盤が自然と立ってくるはずです。
肩こり改善の筋トレ6選!ダンベルやペットボトルを上手に活用
肩甲骨寄せのエクササイズ
肩こり改善の筋トレですが、肩甲骨寄せのエクササイズをおすすめします。
万歳の状態から
このように寄せていきます。
これ、やり方をものすごく大切にするのですが
・手の末端に近い方から動作を行う
ということです。
ただただやってしまうと逆に肩周りに緊張を生むことになるのであまりおすすめしません。
手の末端に近い方から動作を行うことによって肘関節や肩関節の連動がしっかりするので、全体が自然な動きとなり、結果的にコリが取れます。
なかなか難しい感覚なのですが、実際のセッションではしっかりとお伝えしているところです。
ペットボトルでショルダープレス
(1)ペットボトルを持ち、ガッツポーズをするように構えます。
(2)肘より先(前腕と言います)を常に地面と垂直に保ちながら万歳するように押し上げます。
(3)ゆっくりと最初の位置に戻し、動作を繰り返します。
動画では片手ずつ行っていますが、両手一緒に行っても良いです。ただし、両手一緒に行ったことにより肩が上がってしまうようではダメ。その場合は面倒でも片手ずつ行いましょう。
強制的に肩を柔らかくする筋トレ
動画ではダンベルを使用していますが、これもペットボトルで代用可能です。
(1)ダンベルやペットボトルを頭の後ろで持ちます。
(2)片方へずらし、10秒ほどキープします。
(3)20回小刻みに揺らします。
アイソレーションを上手に使った方法で、即効性もあります。肩が硬い人は試してみると良いかもしれません。
ジムで出来る肩こりの為の筋トレはある?
ダンベルを使って行う肩こりの為の筋トレも同じく、例えば
ラットプルという種目は肩甲骨がたくさん動くのでおすすめです。
また、ダンベルを使用するものだとショルダープレスという種目があります。
https://www.youtube.com/watch?v=-eI_kudWnh8
先述のペットボトルでのショルダープレスと方法は一緒です。
(1)ダンベルを両手に持ち、ガッツポーズをするように構えます。
(2)肘より先(前腕と言います)を常に地面と垂直に保ちながら万歳するように押し上げます。
(3)ゆっくりと最初の位置に戻し、動作を繰り返します。
シュラッグというトレーニングもおすすめ。
(1)両手にダンベルを持ち、楽に立ちます。
(2)肩をすくめるように上げていきます。
(3)ゆっくりと(1)の状態に戻り、動作を繰り返します。
どちらのトレーニングも重い重さで行う必要はありません。目的が鍛えることではなくて「コリの解消」だからです。軽い負荷で20回〜30回、じんわりと背中周りが温まるのを感じながら行いましょう。
家にペットボトルやダンベルが無い時の肩こり解消の筋トレや体操は?
これに関してですが、
紐を使えと私は思います。
やり方ですが、綿の紐を前習えくらいの幅で輪っかにし、手首を通します。
そのまま紐を動かすように上下したり、後ろでそれを行ったりします。
もっと詳しく知りたい人はは小関トレーナーの「ヒモトレ」に書いてあるのでご興味ある方は見てみてください。紐の効果、本当にすごいんです。
肩こりの筋トレは肩こりが悪化する?逆効果?
一部で肩こりの為の筋トレは逆効果で、肩こりが悪化したりする等言われていますが、これは「その動作が上手じゃないから起こる」ことだと感じています。
先ほど行ったように、人間の動作というのは基本的に末端から行われます。
ですので、この末端からの動作が出来ずに、身体の中心から動かすようなことをしてしまうと、それは「力み」につながるのです。
それを繰り返すことによって過剰な緊張が身体には溜まりますので、それでさらに肩こりがひどくなるのだと思われます。
そういう方は、やはり感覚の変換、意識の変換が必要で、末端から動作は起こるものなんだと、頭と身体で理解していく必要があります。
例えば
・息を吐きながら動作をゆっくり行う
・肩がすくまない程度の軽い負荷で行う
などの工夫をしてみてはいかがでしょうか
ととのえて、かたこり。
以上肩こりについて説明をしてきました。
肩こりや腰痛は非常に多い問題で実際のセッションでも相談が多いものです。
しかし、理由はシンプルで「心理的なストレスや物理的なストレス(身体の使い方が下手なことによる力み)で血行不良が起こっていること」が原因です。
それらをひとつひとつストレッチや身体の使い方の変換をしていくことで改善は十分に可能です。
ダイエット同様、「続けて」みてください。多くの人の肩こりが改善されますことを願っております。
東京学芸大学では、保健体育を専攻し、その後、日本ホリスティックコンディショニング協会ホリスティックコンディショナーの資格をとり、パーソナルトレーナーになる。活動歴7年。累計1000人以上のセッションを行う渋谷のパーソナルトレーニングジム「ととのえて、からだ。」の代表トレーナー。解剖学や生理学、栄養学など知識が豊富。