何度やっても、何度頑張ってもすぐ崩れてしまう姿勢。
周りからは「猫背だね」と言われてしまう。
治したいけど、すぐ崩れるんだもん、どうすれば良いのかわからない。
本来姿勢とは
最も楽に背骨の立つところです。立位でも座位でもそれは一緒。
正しい姿勢を獲得して、その姿勢を保ちやすくするストレッチやエクササイズをして、猫背を改善していきましょう。
猫背の原因は?
そもそも猫背の原因とはどういったものがあるのでしょうか?
「結果として」姿勢が崩れていることは確かなのですが、どうして姿勢が崩れてしまうのか。そこが知りたいですよね。
2つの観点からお話ししたいと思います。
座り方・立ち方がそもそも悪い
人間の運動パターンというのは、神経の働きによって支配されています。
ので、ある一定パターンの運動を続けるとそれを神経は「この動きが得意だな」と勘違いしてその運動を思わずやってしまうようになります。
例えば「足を組む」というのもそうですね。
右が上になるように組み続けると「右を上にするのが得意だな」と脳が勘違いして
座る→右足を上にして足を組む
という運動パターンが作られてしまうということですね。
「クセ」とも言い換えられます。
そもそも崩れた座り方や立ち方を脳みそが「これが得意な座り方や立ち方だ」と勘違いしていたら、その崩れた姿勢を思わずとってしまうということですね。
正しい座り方は?
では、正しい座り方とは?構造的に安定して座るためには、自然に骨盤が立つ必要があります。「自然に」というところがポイントです。
力で姿勢をピンと立たせるのは非常に疲れます。
1分と姿勢が持たない人はそれですね。力=筋肉でなんとかしようとしている証拠です。
骨盤を自然に立たせるには、あることを行って座ります。
このブログでも何度も登場していますが「バンザイ」をします。
こんな感じです。
こうすると骨盤が自然に立つのでその感覚を身体に染み込ませていけば姿勢良く座ることを身につけれられます。
骨盤がしっかり立っているかどうかは足を上げてみると分かります。
骨盤が立っているとどれだけ頑張っても写真くらいしか上がりません。
逆に骨盤が寝ていると膝が胸につくくらい上がります。
それをひとつの目安にしてみてください。
参考→姿勢矯正椅子は要らない!正しい座り方で腰痛知らずの姿勢になろう。
正しい立ち方は?
立ち方も、自然に骨が積み重なるところを身につけていく必要があります。
自然に骨が積み重なるところが身体は一番楽ですし、機能も上がります。
その立ち方を説明します。
内臓の機能低下からも猫背になる
内臓の機能低下も猫背の元です。
これはなかなか探しても載っていないことだと思います。
内臓の機能低下は筋肉の機能低下にもつながるんです。
姿勢に関連する代表的な臓器は「腎」です。
ここは、関係する筋肉は「腸腰筋」です。
腸腰筋とは、腰骨からももの骨へ、そして背骨の腰の部分からももの骨へ付いている筋肉です。
機能は2つ。
・足を上げること
・腰骨の適度なカーブを保ち、骨盤の適度な前傾を保つこと。
特に2番目の機能が「猫背」には重要なポイントになりますね。
内臓の機能が低下するのは、その部分に対して、それぞれ対応する刺激が過剰、または過少であるからです。
刺激というのは「生理的・物理的・心理的」のいずれか、またはそれらが複合的に合わさります。
難しく考えてしまいがちですが、「腎」のポイントは「一点集中」です。
例えば気温が寒くて体が中心へ中心へと縮こまる。
例えばひとつの事に囚われて頭の中がそれ一点ばかり考えてしまう。
例えばパソコンの画面をず〜っと見続ける。
どれも「一点集中」の刺激ですよね。
こういうことが生活の中であると「腎」のエネルギーがヘロヘロに。
結果として、腸腰筋が働かず、背骨の適度なカーブ、骨盤の適度な前傾を保つことが出来なくなり、猫背になるということですね。
「腎」は「久立(きゅうりつ)」と言って、背骨を久しく(長時間)立たせることに対応する内臓です(五労と言います) 「腎」がヘロヘロになると、久しく立たせることが出来ないのです。
睡眠時、横向きにうずくまるように寝る人は内臓がヘロヘロな証拠。人は心身共に元気であれば大の字で寝ます。
しかし、調子が悪いほど回復を求めるので、胎児が母親のお腹の中にいるときの姿勢に近づくんですね。
こうして日頃の睡眠からも、自分の現在の内臓の疲労度を測ることが出来ます。
猫背は身長も縮む。筋トレやストレッチで治す方法とは?
特にスタイルを気にされる方は、猫背になると身長も縮むので矯正した方が良いでしょう。
ここからは筋トレやストレッチで猫背を改善する方法を紹介していきます。出来る範囲から実践してみてくださいね。
ストレッチで猫背矯正
まずはストレッチです。
何をするのかというと、「長座体前屈」です。
これです。体力テスト等で行いますよね。
なぜ長座体前屈なのか?
少し身体の事を知っている人からしたら「なんで長座体前屈なの?」という疑問が湧いてきます。
猫背というのは、背中側の筋肉が緩んでいる状態なのに、さらに追い討ちをかけるように長座体前屈をするのは何故か、と。
これ、観点がそもそも違うからです。
確かに、神経-筋の観点から猫背の修正を行うならば、長座体前屈ではなくて、仰向けでのストレートレッグレイズでももの裏の筋肉を伸ばすことを行っていきます。
しかし、私が改善したいのは、その奥にある「内臓の機能低下」なんです。
「腎」は「膀胱」と対応します。これらは経絡(けいらく)として身体の裏側を通ります。
その流れを正常化させるためにこの長座体前屈を行います。
神経-筋の観点からだったらストレートレッグレイズで正解で良いと思います。方法は無限ですからね。
「腎」の機能を回復させることで、「久立」の機能も回復させたいのです。そうすることで背骨を立たせることが出来てくるからです。
「腎」の機能を回復させることで、生理的にも腸腰筋の働きが戻ってきます。すると、腰骨のカーブや骨盤の適度な前傾を維持しやすくなるんですよね。
そういった理由から、そして実際のセッションで効果を感じているのでこのストレッチを採用しています。
寝ながらの筋トレで猫背矯正
筋トレというには少し易しいかもしれませんが紹介します。
このように仰向けになって、下から上に、自分の正中線を伸ばしていくように身体を伸ばします。
大丈夫な方は写真のように少しお尻を上げてみてください。
これも先ほどのストレッチ同様、「内臓の機能回復」に焦点を置いたエクササイズです。
参考→常に眠いしだるいしやる気が出ないのは病気なの?原因を追究してみる。
椅子に座って猫背を治す方法は?
椅子に座って猫背を治す方法は、先述した「バンザイして足上げ」が良いかと思います。
これです。
こうすることで腸腰筋に刺激が入り、腰骨の適度なカーブや骨盤の適度な前傾を癖付けていくことが出来ます。
また、内臓の機能回復という観点からも、腸腰筋の刺激は「腎」に伝わるので、結果として背骨を立たせやすくなるかなと思います。
猫背を治す。こんさんの知恵袋。
ここまで紹介してきたのとは他に、聞かれたことあることをまとめてみました。
何かの参考になれば嬉しいです。
子供の猫背を治す方法は大人と一緒ですか?
同じと考えて良いと思います。
子供の猫背に関しては、「腎」の機能低下がよくみられます。
ここは、「夜に夜らしい行動を取っていないと弱りやすい」臓器でもあるんです。
つまり、寝るべき時間帯に必要なくらい寝ていないと弱る。
そして結果として姿勢が崩れやすい猫背の状態になるんですね。
ストレッチや筋トレで改善も良いかもしれませんが、お子様の生活がどうか、見直す良い機会かもしれません。
「朝起きられない」「授業中寝てしまう」「すぐイライラする」というお子様はこの傾向にありますね。
もっと簡単に猫背を治す方法はありませんか?
簡単にダイエット!とか、簡単に骨盤矯正!など謳うところがあるのですが、ごめんなさい、私はそういったことは一切言いません。
人は、物ではありません。
1日で英語が喋れるようになりますか!?
これくらい低レベルな質問をしていると思ってください。
身体を変えるというのは、自分自身と向き合う大切な時間です。
ぜひ筋トレやストレッチを通して、日頃忙しくてなかなか向かい合っていなかったご自分と向かい合ってみてください。きっと何か新しい発見があるはずです。
首猫背を治す方法は?
首猫背に関しても基本的には今まで紹介してきたものと同じなので、しっかりと継続されてみてください。
その他に出来るとしたら「にわとりエクササイズ」がオススメです。
仰向けになり、首だけを上下させます。
難しいですが、やり続ければ出来るようになります。
首の筋肉に刺激を入れるのが目的なので、上下の幅は問いません。
ととのえて、せぼね。
ここまで猫背の原因や改善の方法等を紹介してきました。
症状が辛くなると、矯正ベルト等に頼りたくなりますが、どうか自分の力を信じて、エクササイズやストレッチを行ってみてください。
それと並行して、なぜそうなったのかの部分をしっかりと見つめ、出来るだけ根本からの解決も目指していきましょう。
1日も早く、多くの猫背が治りますように。

東京学芸大学では、保健体育を専攻し、その後、日本ホリスティックコンディショニング協会ホリスティックコンディショナーの資格をとり、パーソナルトレーナーになる。活動歴7年。累計1000人以上のセッションを行う渋谷のパーソナルトレーニングジム「ととのえて、からだ。」の代表トレーナー。解剖学や生理学、栄養学など知識が豊富。