先日、インスタグラムのDMよりこんな質問をいただきました。
この質問してくださった方のように
・下半身の悩み
・大転子が外側にぼこっと出ている
こういった悩みを持つ方、結構多いですよね。今回はそういった悩みを抱えている方のために、その具体的な解決方法を運動やストレッチ、体の使い方の意識の持ち方などからナビゲートしていきたいと思います。
下半身太りの原因は?
下半身太りの原因は様々ありますが、この方のように「上半身は細いけど下半身が太くて気になる」という人の共通点は「お尻が使えずにももの前やふくらはぎを使ってしまう」ということです。
ももの前やふくらはぎの筋肉は横に広がるようについているので、ここを日常的に使ったり、トレーニングの時に使ってしまうとそこに筋肉がつき、足が横に大きくなり、相対的に「太く」見えてしまうというわけです。
そういった方はまず「お尻をちゃんと使える状態」というのを作っていく必要があります。そうすることでももの前やふくらはぎを使わずに「削いでいく」ことが可能です(もちろん時間はかかります)。
ではその方法はどのようにしていけば良いのでしょう?体の使い方からみていきましょう。
下半身太りと大転子がぽこっと出ているのは関係しているってこと?
私はそう考えています。大転子がぽこっと外側に出ているということは大転子が内捻りではまっているということです。となると大転子のある大腿骨が内側に捻れ、それに伴って膝のお皿が内側に崩れるので、足関節-膝関節-股関節のラインが崩れます。刺激は一番崩れているポイントに集中してしまうため、膝関節中心の動きになりやすくなります。
膝関節の動きにおいて主として働くのはももの前の筋肉なので、結局太くなりやすい、という流れがあります。
ですので、体の使い方を学び、実践し、トレーニングしていくことで少しずつ少しずつ矯正していく必要があると考えます。
どうして体の使い方を学ぶ必要があるの?お尻を使うために必要なことは?
体の使い方、というのは車で言う「ドライバー」の部分にあたります。筋トレをして筋肉や骨を強くしていくのは「軽車両からスポーツカーにボディやエンジン系統を変えていく」のに似ています。
しかし、いくら車の性能が良くてもドライバーがダメだったらダメですよね。スポーツカーでも軽車両に煽られてしまうかもしれません。
そういうようにならないためにも、しっかりとドライバーとしての技術を身につけていく必要があるのです。
ではここからはお尻を使っていくための具体的な体の使い方について紹介していきます。
足の重心を少し外側においてみよう(小指が浮かない程度)
一番重要なのは足の重心の置き方です。これを変えるだけで筋肉への刺激が変わります。
大転子がぽっこり外側に出っ張っている人や下半身太りが気になると言う人の大半は「親指」と「かかと」に重心が偏っています。
▲このように親指とかかとに体重が偏っている方がしゃがむとしゃがんだ時に小指が浮きます。あとは後ろに倒れそうになる(倒れる)と言う人もこの傾向が強いです。
親指やかかとに重心が乗ったまま動作をすると、ふくらはぎとももの前がよく使われます。試しに親指とかかとに体重を乗せたまましゃがんだり立ったりしてみてください。小指もふわふわと浮いてしまうのがわかるかと思います。
次に、小指が浮かない程度に少し外側に体重を乗せます。最初は極端に外側に乗せても良いかもしれません。
▲小指までしっかり地面についています。こうなることが出来ればお尻にもしっかり刺激が入りやすくなります。
この状態でしゃがんだり立ったりしてみると、もちろんももの前も使いますがお尻の方に刺激が入ってくるのがわかるかと思います。
また、見た目としては、膝のお皿が少し外側に向くはずです。親指とかかとに重心がある時は膝のお皿は内側に向くはずです。
骨格的にも膝のお皿は足の中指らへんと同じ向きが正しいので、少し外側に重心を乗せていくだけで骨格の矯正にも繋がります(継続が必須ですが・・・)
スクワットは「前傾」してみよう
その足の重心のままスクワットをしていきます。スクワットというと次のようにやる人が結構います。
▲このように上体を立てすぎると膝だけで動作をしてしまいがちなので、ももの前を必要以上に使ってしまいます。これを続けているとももの前に刺激がたくさん入るのでももの前が成長し、「太く」見えるんです。。。
こういったスクワットは「膝」が動作の中心になるので主に働くのはももの前の筋肉です。それを「親指」「かかと」重心で行ったら?それはもう太くなるのは目に見えていますよね。
ということで、スクワットでは「股関節」を動かしていくようにします。股関節は英語で「hip joint」と言います。お尻の中心あたりが股関節になります。よく股関節というと鼠蹊部を指す方がいますが、正しくはお尻側の、お尻の中央にあります。
そこをしっかりと動かしていくためには、子どもが砂遊びでしゃがむような、上体も前傾するようなしゃがみ方を目指します。
これを達成するには、目の前にボタンがあるようにしゃがんでいくようにしましょう。実際に地面を「ポチッ」と押すのがかなり有効です。
▲足元にボタンがあるようにイメージして、それを両手で押しにいくようにしゃがみます。そうすると上手に股関節も屈曲させることが出来るのでバランスの良いスクワットをしやすくなります。
お尻を使っていくためのエクササイズのおすすめは?
足の裏の体重の乗せ方がなんとなくわかってきたら、エクササイズで積極的にお尻を鍛えていきましょう。
どうしてお尻?と思うかと思いますが、お尻の筋肉の昨日は
・股関節の外旋(外側に捻ること)
・股関節の外転(外側に開くこと)
・股関節の伸展(後ろに送り出すこと)
この中で特に「外旋」が大切で、しっかりと外に捻ることが出来ないとお尻の筋肉は上手に働きません。大転子がぽこっと出ている人は「内旋」しているので、この外旋力を高めていくことが矯正という意味で非常に大切です。
以上のような理由から、積極的にお尻を使っていくことで大転子の位置の正常化を図ってみよう!と思ったわけです。
お尻を使うエクササイズは様々ありますが、この「外旋」ということを意識しやすいエクササイズをまとめてみたいと思います。
ヒップリフト
ヒップリフトのコツとしては、お尻を上げる時に膝を開くようにすること、です。そうすることで積極的に外旋できるからです。
アブダクション
出来ればゴムチューブを使用して行いたいですね。股関節外旋の動きとしてかなりおすすめなエクササイズです。
▲膝を曲げて、完全に横向きに寝ます。
▲上になっている膝だけをゆっくりと開いていきます。開いた時にお尻が収縮しているのを感じながらやってみましょう。
ヒップエクステンション(両足ver.)
うつ伏せになり、両足を開いてつま先を外側に向けます(股関節を外旋させることになりますよね)。そのまま上体は地面に着いたまま足を地面から上げていきましょう。
▲上半身が持ち上がらないようにしっかりと固定することが大切です。また、疲れて来るとつま先が内側に向きやすいので外側にしっかりと向け続けるようにしましょう。
これもゴムチューブを使うと非常に効果的になるので試してみてください。
超手軽!いつでもどこでも膝のお皿くるくる運動
いつでもどこでもできるのがお皿くるくる運動です。
足裏を離さないようにしながら膝のお皿を外側や内側にくるくると動かしていきます。
▲内側に体重が偏っていると写真のように膝のお皿が内側に向いてしまいます。これだと骨格も崩れていますよね。
▲ちょっと外側に体重を載せるだけでこのように膝のお皿が外側に正しく向きます。この状態を「普通」にするように日々意識していくことが大切です。
電車の待ち時間などなど、空き時間にいつでも出来るのでおすすめです。膝のお皿を外側に向けるのと一緒にお尻が「きゅ〜」っと締まるような感覚を得られればベストです。
背中も一緒に!体でアーチを作ってみよう
お尻の筋肉は腰や背中の筋肉と連動します。ので、お尻の筋肉単体で鍛えたら腰や背中との連動も図っていきましょう。
方法は簡単で、仰向けになり、万歳をし、つま先を外側に向けます。その状態で思い切りお尻を地面から上げていきましょう。10秒間ほどキープします。
▲「もう無理!」というくらい全力でお尻を上げ続けましょう〜。
お尻や腰のあたりにきゅ〜っという刺激(つるんじゃないかくらい感じるので、本当につりそうになったら止めてください!)を感じればOKです。休憩を挟みながら3セット行っていきましょう。
変えた意識を持ち続けること
ダイエットでも骨格の矯正でも大切なのは、「意識を継続すること」です。こればかりは全て他人任せにはできません。
なかなか難しい・・・と感じた人は日常に溶け込ませるようにシステム化してしまうのがおすすめです。
どういうことか
・歯磨きの時の間は膝のお皿くるくる運動をする
・お風呂に入る前にリビングで小指側の体重を意識したスクワットを10回する
などなど「いつ」「どこで」「なにを」するのかをしっかり決めてシステマチックに行う。そうすることで評価がしやすくなり(やったかやらないかという評価)、習慣化にも繋がりやすくなります。
習慣を形成する時に一番障壁となるのは「感情」です。「明日からやれば良いか・・・」そういった感情はできるだけ排除していきましょう。そのためにもシステマチックに組み込むことが大切なのです。
継続すれば体は必ず変わります。継続しなければ変わりません。ぜひぜひ、理想の体に向けて、少しずつ一緒に変わっていきましょう。

東京学芸大学では、保健体育を専攻し、その後、日本ホリスティックコンディショニング協会ホリスティックコンディショナーの資格をとり、パーソナルトレーナーになる。活動歴7年。累計1000人以上のセッションを行う渋谷のパーソナルトレーニングジム「ととのえて、からだ。」の代表トレーナー。解剖学や生理学、栄養学など知識が豊富。