立ち仕事の方は特に悩ましい「むくみ」。
靴下のラインがびっしり付いてなかなか取れないほどのひどいむくみの方も。
靴もパンパンになって痛いんですよね。
今回はそのむくみの原因を西洋・東洋どちらもの視点から紐解いて、それに対する様々なアプローチをご紹介します。
どれも実際のセッションでお客様にご案内しているものばかり。是非実践してみてください。
女性の足のむくみの原因は?
まずは、そもそも足がどうしてむくんでしまうのかを見ていきたいと思います。
むくみは難しい言葉で「浮腫=ふしゅ」と言います。一般的には、むくみは血液循環との関連が強いと言われています。
部位別でむくむ原因を見てみよう。
身体のむくみに関して共通事項があります。
それは
・ふくらはぎの筋機能の衰え
・血液循環やリンパ液循環の低下
・代謝の低下
です。これは一般的にいろんなところで言われていることかと思います。
そこから更に、部位別での特徴的な原因を見ていきたいと思います。
ふくらはぎのむくみの原因は?
圧倒的に立ち仕事の方が悩む場所がこのふくらはぎです。
特に女性は男性に比べてヒールが高い靴を履く機会が多いので、より悩みが多いようです。
「今、1番足の裏のどこに体重が乗っていますか?」と聞かれたら
「母趾球=親指の付け根あたり、それとカカトです」と言う人がほとんどかと思います。
母趾球で支えることで、ふくらはぎに力が入るんですよね。
それが、よりふくらはぎのむくみを強くしています。
本来の立ち方というのは、「足先まで意識を通します。」
"足先が地面に触れてるよ〜"と脳に認識させてあげる。認識させてあげるだなんて難しいこと書いてますが、要は思うだけで良いのです。
実際のセッションでも立ち方についてのところはかなり時間を取っています。
姿勢の基本ですからね。
また、デスクワークの方でも何時間も同じ姿勢が続いたり、パソコンの画面を見続けたりと、「根を詰める作業」をしているとふくらはぎがむくみやすいです。
ふくらはぎは、ツボの流れで「腎・膀胱」と関わる場所。ここは同じ姿勢で居続けることに弱いところなんですよ。
後ほど紹介するツボが痛いあなたはここが原因かもしれませんね。普段から根をつめすぎないこともむくみ対策になるんですよ。
あと冷え過ぎにも弱い臓器なので、冬に出やすいのもこのふくらはぎのむくみだったりします。
足首のむくみの原因は?
足首に関してはふくらはぎとほぼ同じ理由により起こります。
要は
・立ち方それ自体がふくらはぎ(ふくらはぎの筋肉は足首を通ります)が緊張させてしまうものになっている。
・根を詰める作業や同じ姿勢での作業が続く。
・冷え過ぎている
です。
女性は男性よりも体温が低いことが多いので、より腎臓は機能低下しやすく、それに関する流れが停滞しやすいんです。
それに、腎は腸腰筋と関わります。
腸腰筋というのは、腰骨や骨盤を適度に前傾に保ってくれる役割をしています。
それが働きにくくなるわけですから、姿勢が保ちにくくなることに繋がります。
そこから立ち方も悪くなって、と悪循環が生まれます。
ただただマッサージだけで良くならないのはこういったことが根本にあるからですね。
足の甲の慢性的なむくみの原因は?
足の甲がむくむという人もいるようです。
足の甲が関わる五臓もあるんですよ。
それは「胃」です。
ということは、慢性的に足の甲がむくむことには、「食」が関わってくるのは予想がつくかと思います。
食べ過ぎたりすると、身体の前面の流れが滞ります。
・股関節(そけい部あたり)の動きが悪い感じがする
・たまにこめかみあたりに頭痛がする
・甘いものが大好き
該当項目が多ければ多いほど胃が弱っている可能性=足の甲が慢性的にむくむ可能性があります。
太もものむくみの原因は?
さて、太ももに関わる五臓はどこでしょう?
実は、太ももの前なのか、後ろなのか、横側なのかでまた原因が違って来てしまいます。
太もも全体がむくんでいる感じがするならば、腎。
前だけならば、胃。
外は、胆。
こうして自分のむくむ部位が分かると、崩れやすい内臓が分かるので、それに対して「生理的=運動や食事で、物理的=温度や湿度等環境で、心理的=ストレスのコントロールで」改善していくことが出来るんですよ。
時間帯別でむくむ原因を見てみよう。
次は時間帯別に、「むくみ」という現象を紐解いてみたいと思います。
むくみ防止の為にあれこれやっている人をみかけますが・・・?
足のむくみの原因、朝は?
朝にむくむということは、「睡眠」の中で上手に身体の水分をコントロール出来ていないということになりますね。
「睡眠」と「水」に関わる臓器と言えば、先ほど登場した「腎」ですね。
ここでもまた「腎」の登場。
解決に向かってやるべきこと、なんとなく予想ついてきました?
足のむくみの原因、夕方は?
夕方に足がむくむという人は、そもそも日中の運動量が足りなすぎることもありますが、それでも身体の水分量を調節出来る人もいます。
デスクワークの人は同じ姿勢が続きますね。
外回りの方は歩くのが続きますね。
同じ姿勢でいることで働きが崩れやすい臓器は「腎」
歩き続けることで働きが崩れやすい臓器は「肝」
起きた「現象」ばかりに目をやっていては、その下にある「原因」はいつまで経っても見えてきません。
後ほど紹介するストレッチや食事のポイントを実践することで改善は出来ますが、この原因の項を見て「なぜそうなったのか」を理解することが大切ですね。
その他の事例を見てみよう。
その他、こんな相談もあったなーと思い出せるものを書き出してみます。
参考程度にご覧ください。
片足オンリーのむくみ原因は?
「片足だけむくむんです」
ある日来られた方はそうおっしゃっていました。
こういう方の特徴は、左右の脈の様子が違うことです。
ということは、心身の調和が合っていないこと。
身体は大丈夫でも、心が大丈夫ではなかったり。
心が大丈夫でも、身体はボロボロだったり。
その時は、その方の脈が左右揃うように
ストレッチやエクササイズを行いましたが、これは上記のものよりもより複雑な原因が絡み合うことで起こっているようです。
足のむくみの原因、お酒では?
お酒を飲むと、人体の血管は膨張します。
その部分から、身体の水分が出て行ってしまうんです。
その水分の中に、「ミネラル」があって、本来はそれらが、余分な水分だけを排出するように働いてくれているのですが、欠乏してくると今度は働き以上に水分だけが体内に残るようになります。
お酒の席でしょっぱいものが欲しくなるのはその為なんですよね。
そしてこの「しょっぱい」というのは、五臓で言うと「腎」と関わります。
あらあら、ここでもまた「腎」というワードが。
足のむくみの解消法は?
ここまで原因を、一般的に言われているものと、それとは他に、東洋的見地からも見てきました。
ここまで見てきた方は分かる様に、ポイントとなるキーワードは「腎」でしたね。
ここからは、では対策は?ということで、運動や食事に関してのポイントを確認していきたいと思います。
ストレッチで改善を試みる。
最初はストレッチで改善を試みてみましょう。
行うストレッチは「長座体前屈」です。
足の裏から肩のあたりまで、身体の裏側全てを伸ばしてあげるということが大切なこのストレッチ。
そのため、「つま先を天井に向け続ける」「膝を曲げない」この2点がポイントになります。
つま先が寝てしまったり
膝が曲がらない様に注意しましょう。
これで身体の裏側を通る「腎・膀胱経」が伸びます。
塩分はしっかり摂る!
え、塩分って減らせって言われたよ?
と思うかもしれませんが、半分正解、半分間違いです。
「塩分=食塩」だったら減らして正解。
「塩分=天然塩」だったら減らしてはダメです。
本来、天然塩には「にがり」が入っていて、ここにある微量のミネラル達が、摂りすぎた塩分は体外へ排出するという働きがあります。
しかし食塩は、その「にがり」を精製段階で取ってしまうため、摂りすぎた塩分が体外へ出ることはありません。
それが様々な生活習慣病の元になったとも言われています。
そしてこの塩分というのは、身体が乾きすぎないように水分を身体に留めておくという役割があります。
その役割が働きすぎると身体から水分が抜けず、むくみにつながるということですね。
余分な物は出す。そのために働いてくれる塩分を、天然塩からしっかりと摂ることをおすすめします。
しょっぱいものは「腎」を養う味でもあります。
西洋的にも東洋的にも、天然塩というのは重要なポイントになりそうです。
足のむくみにツボ刺激はいかが?
本来はこのツボに関しても私は、セッションにてオーダーメイドにてご案内しています。
原因が千差万別だからこそ対策も千差万別なんです。当たり前ですね。
ここでは、「腎」を養うという前提でそのツボを紹介したいと思います。
そのツボはここ。
「照海=しょうかい」と言います。
少し痛気持ちいいくらい。
そしてその痛気持ちいいが気持ちいいに変わるまで。
自分の身体を労る気持ちで押してみてくださいね。
ととのえて、むくみ。
ここまでむくみの原因と対策を話してきました。
再度確認ですが、ここに載せている原因と対策は、実際のお客様にもご紹介しているものです(実際はもっと事細かくポイント等をお話しています。)
むくみという「現象」を「サイン」と受け取って、それがなぜ起こったのかをきちんと紐解くこと。
それが西洋的見地だろうが、東洋的見地だろうが、どちらでも良いんです。
ご自分が納得される方で結構。
共通して言えることは「生活そのものを改善していく必要がある」ということです。
その手段としてどちらを採っていただいても良い、ということです。
それぞれの良さが、ありますからね。
すぐにでも治そうとする方は、そうなってしまった(むくんでしまった)過程を無視している、棚に上げていることがほとんどです。
自分の行動の積み重ねが今の身体ということを、お忘れなく。
良くも悪くも、今のあなたは、過去の積み重ねで出来ています。
未来の自分へ向けて、良い積み重ねをしていきたいものですね。

東京学芸大学では、保健体育を専攻し、その後、日本ホリスティックコンディショニング協会ホリスティックコンディショナーの資格をとり、パーソナルトレーナーになる。活動歴7年。累計1000人以上のセッションを行う渋谷のパーソナルトレーニングジム「ととのえて、からだ。」の代表トレーナー。解剖学や生理学、栄養学など知識が豊富。