この季節、結構多い相談が呼吸器に関わることです。
西洋医学から見た場合、「異常」を「正常」に治すことが求められるので
そこでの処方は
- 投薬
- 手術
となります。
呼吸器で、例えば「咳」の場合も同様です。
咳が出る→風邪と判断→風邪薬を飲む
まあよくある流れです。西洋医学からしたらこれで「正解」です。
けどそれでは、「感じる力」を養うことは出来ず、思考停止状態になってしまいます。
合理的と言えばそうなんですが、誰でも無い自分の身体。
うまく声を聞けるようになったり
要らない薬は摂らないということが出来れば
何よりも視野が広がると思いません?
咳などの呼吸器系は、全て”風邪”なのか?
これに関して、実際に行ったセッションの事例を通して考えてみたいと思います。
先日いらしたMさんは30代の女性。1週間前から風邪を引き、熱は下がったのですがまだ咳は止まらないということでした。
さて、身体を観ていくことに。
まずは器質的な問題をチェック
まあ呼吸器系の問題なので無いとは思うのですが一応外傷などは無かったかを聞いていきます。
例えば「肺」に関わる場合には、「胸椎の3番」と関わるので、そこをぶつけたりすると
肺に関わる症状が出る場合があるんですね。
だからそういう意味でも外傷が無いかを一応は聞いておく必要があります。
今回はそういったことはありませんでした。
症状が「いつ」「どうして」起こるのかを聴く。
症状を聞いていくと色々なことが分かってきました。
- 咳は風邪と一緒に始まった
- 夕方が一番キツい
- 最近仕事が続いて精神的にも辛かった
- それが終わった時から風邪が出てきた
- 便も珍しく緩くなった
- 自分としてはのんびりしたいから、仕事が続くと似たような症状が出る
- 夜もあまり眠れない日々が続いた
覚えてる限りを羅列してみました。
ここから分析をしていきたいと思います。
咳の時間帯から見えること
夕方が一番キツいということだったのでそれを分析していくと、
陰陽五行でいうと「金」の部分にあたる時間帯。
この「金」が内臓には「肺」「大腸」と関わりを持ちます。
ということは、まずここのエネルギーが変化したことから物質としての「肺」に影響し、症状が出てきたと思われました。
他にここに関する症状としては
- 便も緩んだこと
- 仕事が精神的に辛かったこと
ですかね。
「肺」だけではなく「大腸」にも関わるので、そこにも症状が出てきていますね。
そして仕事の辛さ。
ここの「金」の部分に関するキーワードは
「ねばならない」
です。
責任感など「ねばならない」を感じるとこの「金」の部分が変動します。それが続き、仕事が終わり解放。
それがこの波を激しく上下し、今回の症状を導いたのだろうと観ました。
のんびりしたいのに出来ていないというストレス
今回はここがメインになりそうでした、ストレス。
この方の体格や顔の感じを見ると「土」の要素が強そうな方。
となると、「金」のようにきっちり仕事をしたり集団を律したりするのは
その人「らしくない」行動なんですよね。そこに違和感を感じ、ストレスとして受け止めてしまいます。
多分その緊張時間も長いものだったのでしょう、「夜もあまり眠れなかった」というように
「水」に関するエネルギーも疲れてしまっています。これでは過剰になってしまう金のエネルギーを水に移動することが出来なくなります。
まとめ
ということで今回は、肺に関わる「尺沢」というツボを刺激してもらいました。
最初は激痛。しかし3分くらいマッサージを続けてもらったら痛みも和らぎ、なんと咳も治まってきました。
そのあと40分ほどトレーニングをしたのですがその間は全く咳をせずにトレーニングを行うことが出来ました。
今回のことはたまたまだったのかもしれません。しかし、私の中には確実に「経験」と「確率」としてデータが蓄積されました。
物には、プラスもマイナスもありません。
そこにあるのは、そう感じる私たちの「価値観」があるだけです。
だから、プラスやマイナスで捉えてしまうと、マイナスを忌み嫌う結果に。
プラスは良い、マイナスはダメ。こんなの、人間のエゴですからね。
生まれたくて生まれたんじゃないよ、物質は。避けられて、可哀想。
今回の症状もマイナスの影響というよりは「変動」によって起こったものなんです。
その変動が激しくなればなるほどいろんなことが悪循環。
ただ、その変動が無くなることはありません。
でないと、全てが「絶対的な評価」になります。
正しいか、正しくないか。
人は、社会の中で初めて自分の輪郭が分かります。
そこにあるのは
相対というものです。
以前、というよりトレーナーを始めた頃の私は「正しい」と言われる方法を実践したんですが、今考えるとそれはあくまで「方法論」ベースの話でした。
だから「在り方」で違和感をものすごく感じる。
「え、そうは言ってもこれ解決出来てないじゃん。」って。
この強烈な違和感が、昔、辞めた先輩が、その辞めた理由を話してくれた時に言ってくれた、
「気をつけろ」
の言葉の真意だったのかなと、その時思いましたね。
方法論はたくさんありますよ。
大切なのは観方、在り方。
今現在私はこう思うだけで、10年後変わっているかも笑
ただ、医学の祖であるヒポクラテスも言っている通り、
やり方で治すのではなく、在り方で癒やす
ようなひとりの人間で在れたらと思います。
日本を代表する人物、新渡戸先生も
どうするかより、どうあるか
と『武士道』の中でおっしゃっているので、方法論を突き詰めるというよりは在り方を突き詰めていけたらと思います。
そこには方法の修正というより意識の改善があるのみです。
東京学芸大学では、保健体育を専攻し、その後、日本ホリスティックコンディショニング協会ホリスティックコンディショナーの資格をとり、パーソナルトレーナーになる。活動歴7年。累計1000人以上のセッションを行う渋谷のパーソナルトレーニングジム「ととのえて、からだ。」の代表トレーナー。解剖学や生理学、栄養学など知識が豊富。