美しい背中は男女ともに誰もの憧れですよね。
今回は背筋の筋トレ特集。女性でも自宅で簡単に出来る器具なしでの鍛え方や、ジムで本格的にダンベルやマシーンを使ってトレーニングする方法をお伝えします。背筋を鍛えることでくびれが目立ったり、姿勢が良くなったりという効果も。
猫背改善で姿勢も良くなる背中のトレーニング、今日からでも始めちゃいましょう。
背筋の筋トレの前に。
背筋の筋トレをしていく前に、背筋について知るところから始めましょう。
理解を深めていくことでより効果も増してきます。
広背筋って?
「逆三角形」のラインを作るのにとても大切なこの筋肉。背中の中で最も面積の広い筋肉です。役割としては、脇を締めたりする動作や、重いものを引っ張ったりする時に使われます。男性も女性も、綺麗な上半身のラインを作るには不可欠です。
また、骨盤にも付着しているので、姿勢を維持したり呼吸をしやすくしてくれるのもこの筋肉が関係します。
僧帽筋って?
この僧帽筋も広背筋と並んでかなり大きな筋肉です。頭蓋骨から背中の中ほどまで広がる筋肉です。
解剖学の中では上中下と3つの部位に分けていますが、ここではひとまとまりにして紹介したいと思います。
・肩甲骨を良い位置に保ってくれる。
・良い姿勢の状態で頭蓋骨を支える。
この2点が僧帽筋の大切な役割。
筋肉の役割は姿勢の維持・保持です。僧帽筋は肩甲骨と頭蓋骨と脊柱の関係を良好なものに保ってくれているものということですね。
脊柱起立筋の役割は?
脊柱起立筋は背骨の両脇についていて、背骨の良いカーブを保ってくれています。抗重力筋とも言われます。脊柱起立筋は本来は脊柱起立筋群とよばれ、「腸肋筋」「最長筋」「棘筋」という3つの大きなまとまりに分かれます。
解剖学的な働きとしては脊柱の伸展、側屈、回旋といった動作をします。背骨の動きや保持に直接関わりのある大切な筋肉です。ライン作りの面でも、より背中を立体的にしていくのには欠かせない筋肉なので、ここにもしっかりと刺激を入れて鍛えていきたいものです。
菱形筋の役割は?
菱形筋は、大菱形筋と小菱形筋とに分かれます。背中の深層についているので普段は触れることが出来ません。ここの上には先述の僧帽筋という大きな筋肉がついています。
主に肩甲骨を寄せる時に作用する筋肉で、日常の中では背筋を自然に伸ばした時にその維持・保持として使われます。
女性でも簡単!背筋の筋トレを自宅で自重で行うには?
ここからは、その背筋達をしっかりと鍛えていく種目を紹介したいと思います。
まずは自宅で出来る簡単なものから。畳1枚分のスペースがあれば今からでも出来ますので、ぜひ取り組んでみてください。
バックエクステンション
ポピュラーなものだとこのバックエクステンションが挙げられるのではないでしょうか?しっかりと身体を反るのがポイントですが、肩甲骨の辺りから起こすことで、脊柱起立筋群全体に効かせていくことが出来るので試してみてください。腰のあたりを反るだけでは全体に効きません。
肩甲骨寄せ
広背筋や僧帽筋、菱形筋に効かせることの出来る種目です。
やり方は、下の写真のように万歳をします。
そこから肘を曲げながら内側へと寄せていきます。
10秒ほどキープして元に戻します。
「これ以上寄せたらつる!」というくらい寄せるのがポイントです。
何も器具を使用しませんが結構キツイです。
背筋をジムで、ダンベル等の器具を使って鍛える!部位別に見てみよう。
背筋はジムで、ダンベルやマシーン等を使用したほうが効率良く鍛えていくことが出来ます。
それぞれの筋肉に対して有効な種目を紹介していきたいと思います。
広背筋を鍛えるには?
広背筋を鍛える種目として一番有名なのはラットプルでしょう。
もちろんフォームも大切ですが、神経の仕組みを上手に利用することで広背筋に効かせていくことが出来ます。
どうするかというと、簡単に言うと5本の指のうち、薬指と小指をより強く握るとこれだけです。5本の指には3本の神経が通っていますが、その内背中と関係するのが薬指と小指に通っている尺骨神経という神経です。ラットプルをやっていてもなかなか広背筋に効きづらいという方は試してみてください。
また、チンニングもかなり有効な広背筋の種目になります。
女性はなかなか難しいですが、男性はぜひとも取り組みたい種目です。握りの幅や順手逆手等変えながら、色々な刺激を背中に入れていきましょう。
ローイングも背中では代表的な種目です。この動画ではダンベルで行っていますが、バーベルでのローイングもあり。広背筋だけでなく、僧帽筋や菱形筋にも効いて来ます。背筋を保ち続けるので脊柱起立筋群も働きますね。最後肘を締めるようにするとより背中に効いてきます。
僧帽筋と菱形筋を鍛えるには?
僧帽筋や菱形筋は、特に肩甲骨を内側へ寄せると働きます。
そこで有名な種目としては先ほど紹介したベントオーバーローイングやローイングのマシーンになります。
こういったロープーリーのマシンでも良いと思います。ジムによって多少違うと思いますので、初心者の方は「肩甲骨の間を鍛えたいんですけど」とトレーナーさんにいうとそれに見合ったマシンを教えてくれるかと思います。
僧帽筋の上の方を鍛えていくにはシュラッグというトレーニングがおすすめ。慣れてきたら重さを上げてしっかりと追い込んでいきましょう。
肩が耳につくつもりでやるとしっかりと効いてくるかと思います。
これはアップライトローイングというトレーニング。
肩の筋肉である三角筋にも効きますが、僧帽筋の上の方も働く種目です。
脊柱起立筋を鍛えるには?
脊柱起立筋は脊柱を伸展させたり側屈させたり回旋させると働きます。
一番有名なのだとデッドリフトと言って、バーベルを持っておじぎをして立位に戻ってという種目です。
重いものを持つので腰が心配かと思いますが、しっかりと背筋を作れば何も怖くないです。
最初心配な時はトレーナーさんにフォームを修正してもらうことをおすすめします。
簡単なのだと、ジムにあるこういうマシーンを使って、ハイパーバックエクステンションという種目があります。
これがこなせるようになってきたら、重りを持って行うことで負荷を調節出来ます。
少し変わったのだとバランスボールを使うという手もあります。これだとまた違った刺激が入るのでいつも上記の種目でやっている人には新鮮かもしれません。
背中を追い込みたい!
この動画のように複数の種目を休みなく入れることで追い込むことが出来ます。
背中全体をしっかり追い込みたい方や、時間が無いけどトレーニングはサボりたく無いという人におすすめなトレーニング方法です。
背筋の筋トレの効果は?
ここまで背筋の筋トレを紹介してきましたが、ここを鍛えることでどんな効果が得られるのでしょうか?
背筋を鍛えることで得られる効果を紹介したいと思います。
姿勢が良くなって猫背の改善になる。
現代の生活のほとんどは「丸まる」ことで成り立ちますね。デスクワークだったり、家事だったり。この丸まりが実に曲者で、姿勢の悪化を招き、呼吸を浅くしてしまうんです。呼吸が浅くなるだけで、私たちの身体の機能というのは落ちてしまいます。そこから内臓の調子を崩す人も少なくありません。
背中に刺激が入ることで、嫌でもそこを意識するようになるので、自然と姿勢が良くなりますね。姿勢を良くするには、ラットプル等の種目の時、引くのと息を吸う(肋骨に空気を入れる)のを同時に行うことです。
そうすることで首と肋骨を結ぶ斜角筋や肋間筋等のインナーマッスルがしっかりと働きます。姿勢を正すには、アウターマッスルだけでなくインナーマッスルもポイントになります。
血が綺麗になる?!
広背筋は経絡チャートにおいて、膵臓という内臓と関わります。膵臓は血圧の調整を行う臓器です。広背筋にしっかりと刺激が入ることで血圧が正常となる可能性が出てきます。血圧に異常のある方は大抵姿勢の悪さが目立ちます。そして、僧帽筋の下部は経絡チャートにおいて脾臓と関わります。ここは私たちの「血」と関わるところ。
そして免疫機能であるリンパとも関わるところです。こういった働きも猫背だと上手に機能しない恐れが。背中を刺激して姿勢が良くなるだけで、健康にも良い効果があるんですね。
肩こり首こりの解消につながる
姿勢が良くなることで、背骨のカーブが自然なS字になります。そうなると首コリや肩コリの解消につながってきます。
解剖学的に良い姿勢と言われるのは、肩の上に耳の穴が来る姿勢です。多くの人は肩よりも耳の穴が前にずれていると思います。これはいわゆる「猫背」や「首猫背」と言われるもの。こうなると、重力を支えるのが首の付け根になり、結果として首こりや肩こりに悩まされることに。長年こうしたことに困っている人は、姿勢の悪さが原因かもしれません。
背筋の筋トレで腰痛が治る?
一部で、背筋を鍛えることで腰痛が治るといわれています。これは半分正解、半分不正解だと私は思います。背筋に刺激が入ったことで姿勢が良くなれば脊柱のカーブが自然になるので、腰への負担が減って腰痛が治るということはあり得ます。
しかし、原因がそれだけじゃないのが腰痛の厄介な所。
例えば腰痛は内臓の機能低下からも起こります。多いのが胃や腎臓・大腸です。そういった内臓の機能低下は他の方法(経絡上へのアプローチ等)を使う必要が出てきます。背筋の筋トレで腰痛が良くなったという人は、もともとかなり姿勢が悪かった可能性が。姿勢が悪いのと腰痛がセットなあなたは、試してみる価値があるかもしれませんね。
背筋を美しくしよう。
以上、背筋についてお話をしてきました。
自宅でも簡単に出来ますし、ジムではマシーンやダンベルを使って本格的に鍛えていくことが出来ます。大切なのは続けることです。一流のボディービルダーであっても、純粋に筋量を1kg増やすのに1年かかるそうです。
だからこそ、最初は無理せずに、気軽に、そして気長に続けていきましょう。
トレーニングは嘘をつきません。自分の身体と向かい合い、理想の身体へと進化して参りましょう。

東京学芸大学では、保健体育を専攻し、その後、日本ホリスティックコンディショニング協会ホリスティックコンディショナーの資格をとり、パーソナルトレーナーになる。活動歴7年。累計1000人以上のセッションを行う渋谷のパーソナルトレーニングジム「ととのえて、からだ。」の代表トレーナー。解剖学や生理学、栄養学など知識が豊富。