大胸筋は鍛え方を知れば自宅で手軽に鍛えることが出来ます。 器具なし自重で女性にも出来る簡単なものからダンベルを使ったもの、ジムで本格的に行うものまで豊富に種類があるので、自分に合った大胸筋の鍛え方を知っていきましょう。
大胸筋には上部・下部・内側と部位別に鍛え方が異なります。それらも具体的な種目と一緒に紹介したいと思います。
大胸筋の効果的な鍛え方を知って、厚い胸板を作っていきましょう。
大胸筋の鍛え方を知ろう!
男性であっても女性であっても大胸筋の鍛え方は一緒です。
大胸筋の効果的な鍛え方をマスターして、男性であればカッコイイ胸板、女性であればバストアップ(バストアップには大胸筋以外にもとっても大切な筋肉が2つほどあるのですがここでは省略)を目指していきましょう。
大胸筋って?
大胸筋には上部や下部がある?鍛え方は?ストレッチ方法は?というか、そもそも大胸筋というのはどんな筋肉なのでしょう?なんとなく「胸の筋肉」というようにまとめられがちですので、基本情報を確認していきたいと思います。
まずはどこからついているのかということを確認していきましょう。
鎖骨を触ってもらって、その内側です。ここに大胸筋はついています。そしてそこから身体の中央、胸骨(きょうこつ)という骨があり、そのすぐ横に肋骨の軟骨部分があります。これにも付いています。更に下に行くと腹直筋の繊維にも付いています。結構幅広いですよね。
この部分から全て腕の骨(上腕骨と言います)に付いています。
腕の骨が内側に寄る時に大胸筋が収縮するわけですね。胸のあたりを触りながら腕を内側、外側と動かすと大胸筋の動きが分かるかと思います。
大胸筋を鍛えることによるメリットは?
大胸筋を鍛えることのメリットは何があるでしょう?もちろん、胸板が厚くなる、バストアップにつながる等のメリットもあります。また、大胸筋は呼吸とも関わりますので、呼吸器系の能力向上(運動全般は呼吸能力の向上にも繋がりやすいです)にも繋がります。
経絡チャートから言うと、大胸筋は肝臓との関わりも高いので
・エネルギー代謝能力向上
・脂質代謝能力向上
・アルコール代謝能力向上
等も大胸筋に刺激を加えることによるメリットと言えます。
大胸筋の鍛え方4選【自宅編】
大胸筋の鍛え方を確認していきましょう。
まずは自宅で出来るものから紹介していきます。自重・器具なしで出来る手軽なものから、準備が出来る人はダンベルを使ったものまで。
手軽といってもしっかりやればキツイものもありますので頑張っていきましょうね。
自重・器具なしでの大胸筋の鍛え方は腕立て(膝立て)
自宅で行う場合には、特別な道具を使わずに自分の体重のみで行うことになります。
そこでおすすめなのが「腕立て(もしくは膝立て)」です。
大胸筋だけでなく、身体を支えようとして体幹にも刺激が入るので、手っ取り早くいろんな部分に刺激を加えるのに役立つエクササイズです。
男性でも女性でも、しっかりと腕立てが出来るようになると効果的にシェイプアップしたり、胸や腕の筋肉をつけていくことが出来るので、最初は1回からでもチャレンジしてみることをおすすめします。
腕立てのポイントは?
腕立てのポイントがいくつかあります。
特に女性の場合、腕立てが出来ないという人が多いかと思いますので、その場合には「膝立て」から始めてもらえたらと思います。
また、下の動画のように、手を高い位置にして行うのもありですね。
さて、ポイントとしては両手の幅です。
両手の幅が、広がれば胸に効いてきます。逆に、両手の幅が縮まると腕(特に二の腕)に効いてきます。
目安は肩幅から手を2,3つ分外側にずらすくらい。あとはご自身で微調整をしていきましょう。
また、手の先は内側に向け過ぎると肩関節に負担がかかりすぎて危険です。真っ直ぐもしくは少し外側に向けるのがポイントです。
人間の肩関節が一番安定するのは「ベアーポジション」と言って、赤ちゃんがうつ伏せの状態から自分で体を持ち上げた時のポジションです。
それは
・肩の真下に手があって
・手の先は少し外に向いている
という状態。
人体の仕組みに逆らうと怪我をしてしまいますので、気をつけながら行ってみてください。
普通の腕立てが楽になってきたら?
普通の腕立てが楽になってきたら、足を高くします。椅子や台の上に足を置いて腕立てをしましょう。
女性の場合、膝立てが楽になってきたら徐々に普通の腕立てにしていくと良いと良いでしょう。
腕を互い違いのポジションに置くことでも違った刺激が入るのでおすすめです。
また、男性でチャレンジ出来る人は腕立てでジャンプなんていうのもあるので、「おれはこれだ!」という人はどうぞ。
さらに腕立てのバリエーションを豊富にしたい方は下の動画もおすすめです。
ダンベルプレス
ダンベルの用意がある人はダンベルプレスがおすすめです。
(1)床やソファ等に仰向けになります。ベンチ台が用意できるならなお良いと思います。
(2)ダンベルを両手に持ち、肩の真上に構えます。
(3)胸の横に向かってゆっくりと下ろしていきます。
(4)最初の位置に戻していきます。
下ろす位置を色々調節しながら行うと胸の筋肉に一番刺激が入るポイントを見つけることが出来るはずですので、試しながら行ってみてください。
ダンベルフライ
ダンベルの2種目目。ダンベルフライをやってみましょう。
ダンベルプレスと似た種目ですがダンベルフライという種目があります。
(1)床やソファ等に仰向けになります。ベンチ台が用意できるならなお良いと思います。
(2)ダンベルを両手に持ち、肩の真上に構えます。
(3)肘を少しだけ曲げたまま横に開いていきます。
(4)最初の位置に戻していきます。
ダンベルプレスよりもフライの方が胸への刺激が分かりやすいという人もいるので、自分の好みで選んでみては。
椅子を使ってディップス
強烈な胸への刺激が来るディップスもおすすめ。男性は特に取り組みたい種目です。
(1)椅子の背もたれを手の支えにし、肩幅より少し広いくらいで調整します。
(2)手で身体を支え、力を抜かずにゆっくりと身体を沈めていきます。
(3)手で押し返し、身体を持ち上げます。
最初は1回すら出来ないかもしれません。それくらいキツい種目なので心して行ってください。
大胸筋の筋トレメニュー【自宅編】
ここでのメニューはあくまでも参考程度なので、自分の体力レベルに合わせて増減をしてみてください。
久しぶりに運動するという方向け
久しぶりに運動するという人は、焦らずに数ヶ月かけて腕立てをしっかりとしたものにしていくことを目標とします。
ので、メニューとしては以下の通りです。
【男性】
期間 | 種目 | 回数 |
最初の2週間 | 膝立て伏せ | 10回 3セット |
2週間〜1ヶ月 | 腕立て伏せ | 3回 5セット |
1ヶ月~1ヶ月半 | 腕立て伏せ | 5回 3セット |
1ヶ月半〜2ヶ月 | 腕立て伏せ | 8回 3セット |
2ヶ月目〜 | 腕立て伏せ | 10回 3セット |
これらを1日置きに行っていきます。
【女性】
期間 | 種目 | 回数 |
最初の2週間 | 膝立て伏せ | 5回 2セット |
2週間〜1ヶ月 | 膝立て伏せ | 5回 5セット |
1ヶ月~1ヶ月半 | 膝立て伏せ | 8回 3セット |
1ヶ月半〜2ヶ月 | 膝立て伏せ | 10回 3セット |
2ヶ月目〜 | 腕立て伏せ | 5回 3セット |
女性はより無理しない範囲から始めていきます。見て分かるように始めて2ヶ月までは「膝立て伏せ」です。焦らずに行うことが続けるコツです。
運動に慣れていますという方向け
慣れているという方は、徐々に量や質を上げていきましょう。自宅でも追い込むくらい行えればベストです。
【男性】
期間 | 種目 | 回数 |
最初の2週間 | 腕立て伏せ | 10回 3セット |
2週間〜1ヶ月 | 腕立て伏せ 腕立て伏せ(手の位置を左右で変えて) | どちらも10回 3セット |
1ヶ月~1ヶ月半 | 腕立て伏せ(足を高い位置に上げて) | 10回 3セット |
1ヶ月半〜2ヶ月 | 腕立て伏せジャンプ | 5回 3セット |
2ヶ月目〜 | 今までので好きな種目3種目 | 全て10回 3セット |
という感じです。腕立てだけでも結構なきつさになりますよね。
【女性】
期間 | 種目 | 回数 |
最初の2週間 | 膝立て伏せ | 10回 3セット |
2週間〜1ヶ月 | 腕立て伏せ | 3回 5セット |
1ヶ月~1ヶ月半 | 腕立て伏せ | 5回 3セット |
1ヶ月半〜2ヶ月 | 腕立て伏せ | 8回 3セット |
2ヶ月目〜 | 腕立て伏せ | 10回 3セット |
女性のは、「男性の運動に慣れていない人向け」のものと一緒になります。これくらいの負荷がこなせるようになっていることには効果を実感しているはずです。
大胸筋の鍛え方7選【ジム編】
ここからは道具を使ってしっかりと大胸筋を鍛えていきたいと思います。
ジムに通っている方や、自宅にダンベルやベンチプレス台がある人向けです。
基本はベンチプレス
基本種目としてはまずベンチプレスが挙げられるかと思います。有名な種目ですよね。
こちらの動画を参考にしながら
・足の位置
・腰のアーチ
・手首の角度
・バーの下ろす位置
・手の幅
等、フォームのポイントを一番軽い重さで確認して行ってみてください。
最初はジムのトレーナーさんに聞くのが早いかと思いますので、せっかくの環境を最大限生かしていきましょう。
インクライン・ベンチプレス
大胸筋の上部の部分への刺激のために角度をつけてベンチプレスを行っていきましょう。
かっこいいフォルムの胸板のためには満遍なく鍛えていくことが必要です。
チェストプレス
マシーンを使うならチェストプレスがおすすめ。
マシーンとウエイト(ベンチプレス等)は何が違うの?と言われますが、マシーンはウエイトと違って、軌道が固定されているのでまずは「安全に行える」ということが第一。
そして、バーのコントロール等が要らないので、押す動作そのものに集中出来るというのもポイントです。
(1)椅子に座り、バーを持つところが胸のトップにくるよう高さ等を調整します。
(2)手の根っこの部分でバーを押していきます。
(3)いきなり力を抜かないでゆっくりと戻していきます。
フィットネスクラブなんかではジムでトレーナーさんが教えてくれると思いますので聞くのが良いかと思います。
フライもおすすめです。
フライも大胸筋を鍛える種目として有効です。
フライはマシーンを使用する場合とダンベルと使用する場合とがあるのでどちらも見ていきましょう。
まずマシーンです。肘の角度が変わりやすいのでまず注意。そして肩が上がってしまうと違うところに効いてくるのでそれも注意してみてください。
こちらがマシーンでのフライです。ジムで若干のマシーンの違いはあるものの大抵こういう形だと思います。
ダンベルで行う場合は仰向けで行います。自宅編に詳細が載っていますので参考にしてみてください。
あまり重いのでやりすぎると肩を傷める可能性も出てきますので、気をつけながら行っていきましょう。
ダンベルでの大胸筋の鍛え方は?
ダンベルの種目は他にも、自宅編で出てきたダンベルプレスというものがあります。
仰向けになって行います。ダンベルはマシーンやバーベルよりも軌道がずれやすいので、まずは重さを上げることよりもダンベルをコントロールするということを大切にしていきましょう。
慣れてきたら重さや回数を上げていきます。
ディップス
大胸筋だけでなく肩や腕にも刺激が入るディップスは、大胸筋だけでなく上半身を鍛えたいという人に強くおすすめする種目です。
(1)ディップスバーを手の支えにし、身体を浮かせます。
(2)手で身体を支え、力を抜かずにゆっくりと身体を沈めていきます。
(3)手で押し返し、身体を持ち上げます。
ジムによってはアシステッド・ディップスと言って補助付きで行えるものもあります、最初出来ない人はそちらからチャレンジしてみると良いと思います。
大胸筋の鍛え方【部位別編】
大胸筋というのは(一応筋肉は単体ではなく繊維で繋がっていますが)上部・中部・下部と繊維を区分けすることが出来ます。
トレーニングに慣れてきて楽しくなってくると「大胸筋のこのあたりを鍛えたい」というようにこだわりが出てきますよね。
大胸筋の部位別にトレーニングを紹介していきたいと思います。
大胸筋の上部の鍛え方は?
大胸筋上部の鍛え方の基本ポイントは「頭の位置が高くなる」ということです。
例えばこの種目。
インクライン・ダンベルプレスと言います。
通常のベンチプレスと基本的なフォームは同じになります。
(1)頭が高い位置になるようにベンチ台を調整します。
(2)鎖骨の少し下あたりにバーベルが下りてくるよう調整・練習します。
(3)基本的なベンチプレス同様、丁寧な動作で行っていきましょう。
バーベルを使用するときも同じで、頭の位置を高くしていきます。
ベンチプレスの場合、この動画のような「スミスマシン」というものを使うと安全に行っていくことが出来ますので参考にしてみてください。
自宅だとソファを使用して出来るようですね。
大胸筋の下部の鍛え方は?
大胸筋下部の鍛え方として有名なのが「ディップス」です。
結構キツイです。やり方は先ほど説明した通りです。
(1)ディップスバーを手の支えにし、身体を浮かせます。
(2)手で身体を支え、力を抜かずにゆっくりと身体を沈めていきます。
(3)手で押し返し、身体を持ち上げます。
徐々に下げていく練習をすると良いと思います。
ディクラインプレス
負荷調節が出来るものだと、このように頭の位置を下げるプレスの種目を行います。お尻を上げた状態ですね。
(1)頭が低い位置になるようにベンチ台を調整します。
(2)みぞおちのあたりにバーベルが下りてくるよう調整・練習します。
(3)基本的なベンチプレス同様、丁寧な動作で行っていきましょう。
大胸筋の内側の鍛え方は?
大胸筋の内側を鍛えることによってより立体感のある胸になってきますね。
鍛え方は様々あります。
簡単なものだとチューブを使用したもの。片方ずつ行うのでより意識がしやすくなると思います。
テクニックの一つですが、もう片方の手で今刺激を加えている部位にタップするのも重要です。
これもチューブを使用したもの。基本的に「フライ」という種目がベースになります。
大胸筋の効果的な鍛え方は?
大胸筋だけではなくあらゆる筋肉に通ずるポイントを確認していきましょう。
ただ闇雲にトレーニングするだけではなく、これらを理解しておくことでトレーニングの効果を高めていくことが可能です。
出来るだけ力は「出し切る」
トレーニングで、力は出来るだけ出し切りましょう。もう無理!という位までしっかり行うことで筋肉は「この刺激に耐えられるだけの強さにしないと!」と感じ、太くなったり引き締まったりするわけです。
ですので、出し切らずになんとなくやると「まあまだ耐えられるよね」と感じてしまうので身体の変化は起こらないんですよね。
段々と難しくする
出し切ると、身体も刺激に慣れてきて、いつも行っている重さや回数が「簡単」に感じてきます。少し余裕が出てきたな、と感じたらそれはステップアップの証拠。重さや回数、セット数等を調節し、脳みそが飽きないようにしていきましょう。
ただ、一気にあげすぎるのは危険なので、回数なら1,2回、重さなら最小単位の増加を目安に行ってみてください。
食事が伴って初めて「パワーアップ」する。
筋トレというのは、筋繊維を破壊する行為です。その修復過程で「これ以上強くしないとあの刺激には耐えられないな」となるとより強く・引き締まった・太い筋肉がついてくるわけです。その時に材料が無いと何も始まりません。
ですので、トレーニングの前後にはしっかりと栄養補給をしていきましょう。炭水化物やタンパク質を積極的に摂ることでよりトレーニング効果をますことが出来ます。
タンパク質はどれくらい必要?
まずは自分の除脂肪体重を知ることから。簡単に言うと、自分の体重から体脂肪を抜いたものなので、50kgで体脂肪率が20%の人が居たとすると
50kg × 0.8(体脂肪率が0.2なので) = 40kg となり、これが除脂肪体重です。
で、この除脂肪体重あたり1g以上は摂りたいので、40g以上のタンパク質は最低限必要であると算出出来ます。ちなみに40gだと鳥のささみ200g弱くらいですか。
今はいろんな食材の栄養素が手軽に調べられる時代なので
(1)自分の除脂肪体重を求める
(2)必要なタンパク質を算出する(除脂肪体重あたり1~2gで)
(3)そこから逆算して1日の食事を決める
と求めていきましょう。あんまり食べれないという人は除脂肪体重あたり1gで大丈夫です。
大胸筋の効果的な鍛え方!自宅やジムで、厚い胸板作りまとめ
以上大胸筋の鍛え方について紹介をしてきました。自宅であってもジムであっても、やってみることでいろいろと分かってきます。まずは1週間、そして3週間、そして3ヶ月、トレーニングを行ってみてください。きっと何かが変わってくるはずです。何も変わらなければ、ジムのトレーナー、周りの人等に聞いて知識を高めること。そしてまた実践すること。
自分の身体を変えることは、本当に色々な学びがあります。
その学びを楽しみながら、一緒に理想の身体を目指して参りましょう。

東京学芸大学では、保健体育を専攻し、その後、日本ホリスティックコンディショニング協会ホリスティックコンディショナーの資格をとり、パーソナルトレーナーになる。活動歴7年。累計1000人以上のセッションを行う渋谷のパーソナルトレーニングジム「ととのえて、からだ。」の代表トレーナー。解剖学や生理学、栄養学など知識が豊富。