現代における医学では大きく分けて「西洋医学」「東洋医学」という分類がありますよね。
東洋医学は多分、西洋医学よりも馴染みの無い方の方が多いと思います。
そこで、「東洋医学」ってなんなの?をまとめてみました。
東洋思想に基づく医学
東洋医学は、東洋思想に基づいて体系づけられました。その思想・哲学とは「陰陽」「五行」「天人合一」などです。
これらの哲学を、自然発生的に起こった医療技術と結びづけたものが現代の東洋医学です。
これらは中国の地方や食文化の違いからも色々と分けられますが、私たちが現在日本において「東洋医学」という時は、これら中国の伝統医療の総称を言います。
鍼治療・按摩・気功などが身近にある東洋医学ですね。

日本では、中国が漢の時代に、『素問』や『傷寒論』などの代表的な書物を基礎として漢方が発展しました。
陰陽五行説について
東洋医学の根底にあるのは、陰陽五行という思想です。
これは、この世の全ての事象を陰陽2つの「氣」から成り立っていると考え、さらにそれを木火土金水の5つの構成要素に分けることで、複雑な事象をも捉えようとしました。
難しい?
私なりの、すご〜く簡単な解釈、言いますね。
陽=見える世界
陰=見えない世界
この2つが必ずセットだよということです。
例えば、「甘いものが止められないという現実(見える世界)には、身体が緊張しているという原因が隠れているよ(見えない世界)」という感じです。
参考記事: 甘いものが食べたくなるのは病気なんかじゃないよ。
何も、見えないもの=幽霊とかそんなオカルトなお話ではありません(笑)
そして陰と陽だけでは少しだけ物足りないから、木火土金水という5つに分けてみようと思ったわけです。
それぞれは「エネルギーの象徴」としての要素。
例えば「木」は上に上に成長していきますよね。だから上へ伸びるエネルギー。
ということは、心身ともに伸び伸び出来ていない時にストレスを感じるエネルギーでもあります。
ただ、のびのびし過ぎてもダメですよ。木には「根」がセットです。
根がしっかりしているからこそ、伸びることが出来るんです。
と、こんな風に、人間も自然の一部だよと考えていくのが東洋思想です。
で、見えないものはそのままにしておこうとしたわけですね。
この場合の見えないものは、「自然界の人知を超えた営み」です。花は咲き、散り、また季節が来ると咲く。
そういう自然の偉大な働きを畏れ、解明するのではなく、そのままにして、それと仲良く調和して暮らしていこうと考え、それを哲学として体系づけたのがこの思想です。
治療目的は?
鍼灸や気功などの方法を取り、氣の流れを整えていくのが目的です。氣の流れを整えることで身体が自然な状態に戻る。自然治癒力が高まるとも言い変えられるかと思います。
氣が病んでいるのを元の氣に戻す。つまり元氣にするということですね。
「氣」というのは目に見えないものなのでなかなかとっつきにくいかも知れませんが、元気、やる気、根気、病気、陰気など生活の中で知らず知らずに言葉を使っていますよね。元気って目に見えないものじゃないですか。
その氣の流れを整えることで、五行や陰陽の調和を図り、心身を良い状態にしていくのが治療の目的になります。
東洋医学と西洋医学の違いは?
私が鍼灸師の先生から習ったことの中で「分かりやすかったな〜」って思ったことを以下に書いておきたいと思います。
ちなみに私に東洋医学の面白〜い世界を教えてくれたのはこちらの先生です。
東洋医学に元々興味があった方にはとても面白く読めちゃうブログです。おすすめですよ。
さて、西洋医学は「客観的事実」に基づいています。絶対的な世界です。
客観的事実の世界とは、世界中どこで誰が見ても同じ結果になるもの。そして、同じ結果になるから同じ処方になるということ。
・悪い菌が確認出来る→投薬で殺す
・悪い場所が確認出来る→手術で取り除く
といった例が言えるかと思います。
そして西洋医学は人体を細分化して考えています。肝臓は肝臓、膝は膝、と言った感じです。
一方東洋医学は「主観的感性」に基づいています。相対的な世界です。
ので、その時間、空間、人間(対峙しあう人)が違ったら見解が違うことがあります。
更にその見解から、診断を受けた本人も自分で「主観する」ことも大切になってくるのがこの世界。
客観的事実の世界は、専門的なことを理解している人が絶対ですよね。
だからその人の意見に合わせるしかない。
しかし、主観的感性の世界はそうではない。
自分の中の問いを持ち続け、生活の中で答えを見つけていく。
東洋医学では、
悪い場所があると、その全体を見て調和を図り、自然治癒力を高めていくというのが治療の流れになります。
ここでの「全体」というのは、私は昔、「身体全体」かと思っていたのですが
今現在は習ったことを咀嚼し、生理・物理・心理の3点を「全体」という捉え方をしています。
要は、風邪ひとつとっても
西洋では
菌が入ったね→その菌に効く薬を飲んで菌を殺そうとなります。
一方東洋では
食事はどうだったかな?運動の様子はどうだったかな?温度・湿度・風はどうだったかな?今感じているストレスは何かな?
などと、その人の生活を含めた全体を見直して、その人に合った方法で治癒(調和)を図ります。
どちらが正解・不正解ということは無い
違いを説明してきましたけど、あくまでも「違い」でしかないんです。
だから、どっちが良いとか悪いとかいう「正解」はありません。
どっちの立場を選択するのか、というだけの話だと思います。
例えば大きな傷を負った時には西洋の立場に立って手術が必要だと思います。こればかりは仕方ないですよね。整形外科的な手術が必要な場合は西洋医学(の中でもアロパシー医学)でなければなりません。
それに対して例えば慢性的に何か疾患を抱えている場合には、しっかりとその原因を見つめて、生活そのものを改善していく努力が必要になるでしょう。
それぞれの思想・方法に得意・不得意がある。そういう捉え方にした途端、私はすっきりと腑に落ちました。どちらが正しいとかじゃなくて、どちらもある時間・空間・人間においては正しいし正しく無いんです。ようは「使い分け」ということですよね。

【おまけ】スポーツ選手にこそ知ってほしい、東洋哲学
これね、私、中学生くらいで知りたかったです笑
それくらいこの陰陽五行という哲学は、本当にいろんなことに通ずるんですよ。
例えば
「よし!今日は頑張って走ろう!」
と思っていたのが
「あああああ、今日も走らねば・・・」
とある日突然ストレスに変わる。この原因も陰陽五行から説明がついちゃうんですよね。
知った時、これ以上無いくらい感動しましたよ。だって原因がわかれば対処が出来るじゃないですか。
文面などでは確実に伝わらないことだと思うので、縁ある人には直接的にお伝えしていこうと思っています。
日常もスポーツも、より良いものにしていくことが出来る東洋哲学、おすすめです。
まとめ
今日お話したのは本当に最初の最初の部分です。
・治療目的は?
・西洋医学との違いは?
・おまけ
普遍的に続くこの哲学を生かすことで、私は何より「生きるのが楽に」なりました。そうすると人間関係も穏やかなものに変化しますし、仕事も落ち着いてすることが出来ます。
多くの人が悩む人間関係。「自然と仲良くなりたい」と願いがこもったこの哲学、縁ある人にはお伝えしていけたらと思います。
また引き続き西洋医学との違いもセッションの実例を通して徐々に紹介していきたいと思います。

東京学芸大学では、保健体育を専攻し、その後、日本ホリスティックコンディショニング協会ホリスティックコンディショナーの資格をとり、パーソナルトレーナーになる。活動歴7年。累計1000人以上のセッションを行う渋谷のパーソナルトレーニングジム「ととのえて、からだ。」の代表トレーナー。解剖学や生理学、栄養学など知識が豊富。