世の中に溢れる「健康法」。一見すると、それを実行さえすれば「私は健康だ!」なんてなりますけど、そんなに甘くは無いみたいです。
私がトレーナーを生業とする中で出会った、今でも鮮明に覚えている強烈な体験のひとつを紹介したいと思います。なんでも「良い加減」が大切。
ある健康法を厳格に実施したある女性のお話
その人がいらっしゃったのはある夏の日でした。見ているだけで倒れそうなほど細い外見。そしておぼつかない足元。
なんだか危ない、そう感じたものの、とりあえずは問診。顔もコケてる。
どうされました?
すると女性は、「ある健康法」を実施した結果が今の私だと、ことの経過をありのままに話してくれた。
注意※ ここではどういった健康法だったのかは伏せさせて頂きます。昔からある健康法です。
私も実践していたある健康法が招いた結果
正直、驚きましたね。当時、私も良かれと思って生活の中にその一部を取り入れたりしていましたから。
この女性が経験した健康法、というよりも生活それ自体と今回セッションを受けるきっかけとなった症状は以下の通りです。
- ・その健康法は厳格に実施する。
- ・食事は添加物が入っているものは一切摂らない
- ・カフェインやお酒も摂らない
- ・皮膚に塗るものも自然なものだけ
- ・着るのも化学繊維無し
そんな感じで、側から見たら「すごい!」とか「健康オタクやな〜」とか色々あるかと思うのですが、それくらい彼女は厳格に
健康になるためにそれらを実施していました。
その結果
- ・腰痛
- ・肩こり
- ・歯茎の異常な痩せ
- ・歯の間に隙間が(いわゆる”すきっぱ”)
こんな症状が出てきてしまっていたんです。その痛み改善の為に来られたのですが、まあもうお分かりですよね。
うん、これは方法論云々ではなくて、この人の頭の中を改造しよう!
そう私は直感的に感じました。
健康法の何が危険因子となったのか。
これも、解決の糸口は「東洋的」な観方にありそう。慢性的な習慣がもとで症状を引き起こした場合はこちらが役立ちます。
さて、このAさん、健康法を「どう捉えて」いたでしょうか。
会話の中にもふんだんに織り込まれていたのですが、キーワードは「ねばならない」です。
健康になる為に健康法を実施しなければいけない。
カフェインやお酒も摂ってはいけない。
自然なものしか塗ってはいけない。着てはいけない。
並べたらキリがありませんが、こういった感じです。この強烈な「ねばならない」の意識が「金」のエネルギーの大変動を引き起こしました。
その方、危ないくらいに肌も白かったです。「金」の五色は「白」。顔色にも表れていました。
そのエネルギーの変動と、「なんで健康にならないの?」という長い期間の思考により精神もくたくた。
「水」のエネルギーが枯渇し、対応する「骨」つまり歯にも影響が出てきたというところです。
また、「金」と「水」は陰のエネルギーです。つまり、ここの変動が激しいと「冷える」。
という感じで総括すると、要は健康法それ自体には何も問題はありませんでした。
むしろそれを「ねばならない」と捉えていたAさんの心の動きに注目。
健康法は健康になる為のもの?
Aさんに実施してもらったのは、たったひとつです。
一旦、今やっていることを全て止めてみてください。そうすると”暇”が出来ますよね。
その出来た暇で「これやろう」とか「これやってみよう」と前向きな想いが湧いてきたら、無理のない範囲で始めてみてください。
私は、巷に溢れる健康法は「健康になるために」やるものだとは思いません。むしろそのためにやっているならば今すぐに止めた方が良い。
だから、「健康になりたい」とか「歪みを直したい」とか「整えたい」とか。そういう思いでセッションは受けないでほしい。
『健康な身体で、私は、何がしたいんだろう?』それが大切なポイント。だって、そうじゃなきゃ、健康になる意味、歪みを正す意味、分からないですもんね?
その身体をフルに使って、何がしたいの?そう、何もしなければそれはエネルギーがめぐらないんです。結局そこに滞りが起こって元どおりの身体に。
人は、死ぬために生きています。だからこそ、自分のエネルギーは巡らせ、回転させ続ける必要があるのです。その生命の燃焼に人は魅力を感じ、感動します。
Aさんが来たのはもう1年も前になります。今はどうなっているか分かりませんが、どこかで、自分の生命をしっかり燃やしていることを祈ると共に、私自身も日々生命を燃焼していくような生き方をしていきたいと思います。
最後にアメリカの社会哲学者、エリック・ホッファーの言葉で締めたいと思います。
幸福を追求すること、これこそが不幸になる主な原因である。
健康を追求すること、これこそが不健康になる主な原因である。終わり。

東京学芸大学では、保健体育を専攻し、その後、日本ホリスティックコンディショニング協会ホリスティックコンディショナーの資格をとり、パーソナルトレーナーになる。活動歴7年。累計1000人以上のセッションを行う渋谷のパーソナルトレーニングジム「ととのえて、からだ。」の代表トレーナー。解剖学や生理学、栄養学など知識が豊富。