ダイエットで痩せないと本当に嫌になります。「こんなにやってるのにー!」って発狂したくもなります。色々勉強して実践してそれでも痩せなくて困ってる・・・そんな人に向けてもう一度確認したいポイントを紹介したいと思います。
痩せなくて辛いとか痩せない病気だとか騒ぐ人もいますが、ちょっと落ち着いて。身体が変わるのは「変わるべくして変わる」ので、もう一度丁寧に習慣を変え、積み重ねて行けばきっと大丈夫です。
ちなみに「短期的にあと1ヶ月後に劇的に痩せる必要がある人」向けの記事では全くありませんので、そういったことを求める方は別のサイトを見ることをおすすめします。
ダイエットで痩せない人の原因・共通点
ダイエットで痩せない人には共通点があります。これはトレーナーとして多くの方にセッションをさせていただく中で発見したこと。巷で言われていることもあればそうじゃないこともあったりしますが全て私の経験の中で見つけたものですので参考になれば嬉しいです。
1.糖質を摂取「しなさすぎ」なんです
まずこれ。多くの人が「糖質は悪魔だ」くらいの先入観を持っていて「それを抑えることがダイエットだ」という考えを持っています。
それを意識するあまり「(前は普通に食べていたけど)ダイエットを始めてほとんど炭水化物を摂らなくなりました」と言う人が結構います。
が、あまりにも摂取しなさすぎてそれが逆にダイエットの妨げになっている人が多いです。
糖質から合成されるグルコースは24時間ほどしか体内にいることが出来ません。脂肪のように長期的にエネルギーとして貯蔵されないのです。
そして糖質のエネルギーは脳や体の大切なガソリンとなるもの。これが不足することで「熱不足」になっている人が多いです。
熱が不足すると当たり前ですが代謝は上がってきません。となると体からしたら
「いや〜最近なんだか身体が冷たいし、今体にある熱守っとこっ」となるので、省エネモードになります。それが続くことでなかなか「痩せない」体へと変化してしまうんですね。
糖質は1日に120g~150gは摂取して大丈夫(ごはん茶碗2~3杯くらいです)なので、恐れずしっかりと摂取してそのパワー全開の状態で運動をしたりしましょう。
参考記事:炭水化物抜きダイエットの効果と弊害(デメリット)について
タンパク質ってまだまだ必要!
炭水化物と同じく足りない栄養素に「タンパク質」があります。タンパク質が足りていない人が本当に本当に多いです。
タンパク質は体重の1.5倍gは必要です。せめて体重gは摂取したいです。
例えば60kgの女性がいたとすると、その方の必要なタンパク質の量は90gです。では90gのタンパク質をどうやって摂取していくか?
タンパク質が多く含まれている食品は
- お肉
- お魚
- 豆
- 卵
です。これら「のみ」でタンパク質を必要量摂取するとしたら
- お肉→450g
- お魚→400g
- 豆→納豆10パック or 豆腐5丁
- 卵→15個
となります。結構大変なのわかりますか?もちろんお米やパンなどにもタンパク質は含まれているのでそれらの合計値ではあるのですが、結構頑張って「食べる」ということをしないと足りてきません。
日常の「タンパク質」が足りているかどうか、確かめてみてくださいね。
脂質のオーバーにもっともっと敏感になろう
逆に「摂りすぎ」な人が多いのがこの「脂質」です。これは本当にもっと敏感になった方が良いです。
巷では「オリーブオイルは体に良いから〜」と言われていますが、物事には「過剰」というものがあります。「過剰」もダメだし「過少」もダメです。
脂質の適正量としては目標カロリーの25%を脂質から摂取というのが目安です。
脂質は場合によって1gあたり7~9kcalで換算されて少し幅があるので、目標カロリーの25%を算出したらそのカロリーを7と9で割ります。そうすると脂質の目標値が出てきます。
カロリーの目標値に関しては後ほど詳しく説明していきます。
筋トレで太くなる?筋トレしっかりしてから言いましょうよ・・・
「筋トレすると変に筋肉ついて太くなるじゃないですか・・・だからやらないんです。」
と、お客様。
「すべこべ言ってないで筋トレして欲しいざます」
と、こんさん。
筋トレで太くなるのはそれ相応の負荷(重さや負荷継続時間)がかかった時のみです。日頃家でやるくらいの筋トレでは太くなることはまずあり得ません。
そういう人が特に気にするのが「足が太くなる」というものですが、確かにスクワットで膝関節優位の使い方をするとももの前の筋肉をたくさん使ってしまうので結果として太くなったように感じてしまうかもしれません。
ちなみに、よく言われる
・膝を前に出さないように
・背筋を伸ばして
といったような意識を持てば持つほどそういうスクワットになりやすいので注意しなくてはなりません。あれは半分本当で半分嘘です。
話がスクワットにそれましたが、しっかり家での筋トレをすることによって「引き締まった綺麗な身体」になるので、ガンガンやって欲しいと思います。
偏った食事には要注意|巷に溢れる「●●だけダイエットの恐怖」
短絡的に巷に溢れる「●●だけダイエット」を実行するのは危険なのでやめましょう。
それらを実行する場合には「なぜそれだけにする必要があるのか」という背景を明らかにする必要があります。
絶対的に正しいことというのはこの世にはなく、どんな物事にも二面性があるので、多角的な視点からそのダイエット法を見ることが出来れば、「本当に自分がそれを行うべきかどうか」というのが判断出来るかと思います。
基本的にそのダイエット法で効果が出る人は元々何かが「過剰」だったことにより効果が出ています。
ダイエット法を実行するだけでなく「どうしてこれで効果が出たのか(効果が出なかったのか)」を冷静に観察すると、リバウンドを防ぐことが簡単になりますよね。
例えば「りんごダイエット」で効果が出たという人は、基本的にむくんでいる事が考えられます。りんごの排泄作用によってそれが解消され結果的に体重が落ちたからです。
そこで「なぜ私はむくみがあるのか?」ということを考えていかなくてはなりません。でないとまた同じことを繰り返します。
結果、「下半身の筋力不足と運動不足によってむくみやすい体の環境になっていた」のだったら
「スクワットやウォーキングなど下半身を動かす運動を取り入れつつ、タンパク質をしっかり摂取して根本から改善する」ということが本当のダイエットにつながりますよね。
りんごダイエットからここまで考えられればあなたは自分の体を自分でコントロールすることが可能です。
自分が何を食べたか覚えていないのも危ないです
また、「いつどこで何を食べたのか」を覚えていないのも危ない傾向にあります。
リバウンドを繰り返してしまう人の特徴として、「(特に私生活において)自分がいつ何をしたのか」を覚えていない人が多いです。
こんさん「昨日仕事が終わって何をしました?」
Aさん「え〜と、21時〜22時くらいに定食屋に行きました。」
21時〜22時「くらい」ってだいぶ広いの分かりますか?そして昨日食べたものも思い出せない。。。
これは完全に惰性で暮らしていて、自分が自分の管理下に無い状態です。こういった人の場合のセッションは食べ物云々、運動云々よりも「自分自身で生活を把握する」ところから始めていきます。
中途半端な運動は「食欲増進」になってしまう
中途半端に運動をすると、お腹が空いてしまってそれは逆に食欲を増進してしまう結果となってしまいます。
やるならしっかりやる。おすすめは筋トレですね。筋トレをしっかりやると食べ物も少しでよくなります。
もちろん、汗をかいてスッキリしたい、という目的であれば強度を低くして食欲を出すレベルの運動でバッチリOKです。
水分が足りていないことがほとんど
エネルギーをしっかりと使っていくためには「お水」が不可欠です。このお水が足りていない人も多いのが現実。
女性であっても1日に2リットルは飲みたいところです。多く感じるかもしれませんが、例えば2リットルを1日に起きている時間で割れば、1時間あたりに飲むべき量はコップ1杯ほど。これくらいなら大丈夫なはずです。
なかなか難しいという人は、「水分の多い野菜や果物」を積極的に食事の中に取り入れるというのもひとつの方法です。
「ダイエットで痩せない」をぶっ飛ばせ!解消法を順を追って解説
ダイエットで痩せない原因をしっかりと理解したところで、順を追って解決策を提案していきたいと思います。
ひとつずつととのえていき、そしてそれを続けることで身体が変化してくるはずです。
まずは食事を。タンパク質を必要量摂取しよう
まずは食事。私たちの体は食べたもので出来ているので、口に入れるものを変えていかなくてはなりません。
そしてまず変えるべきなのは「タンパク質の量」です。この量が足りない人が圧倒的に多いのでまずはこれをととのえていきましょう。
必要量は先ほどお話しした通り。体重の1.5倍gが目標でしたね。
それを自分の食事の回数で割って1回あたりの食事での目標数値を算出してみましょう。
そして、どうしても個体で無理そうならプロテインの摂取も考えてみて良いと思います。基本的には食材のみで達成したいですが、そこは柔軟に考えていきたいですね。
まずはタンパク質を積極的に摂取しよう。目標は体重の1.5倍gだ。
糖質よりも脂質のカットを意識してみよう
どうしても「糖質(炭水化物)カット」をしたくなりますが、それよりも脂質のカットに目を向けてみてください。
きちんと計算していなくて糖質制限で効果の出る人を観察してみると、普段食べている糖質が「菓子パン」「お菓子」「カツ丼などの丼もの」で、どれもが炭水化物と脂質のオンパレードになっていることがほとんど。
ですので、糖質よりも脂質に目を向けることでしっかりと効果を出していくことが出来るかと思いますし、実際のセッションでもそうして効果を感じて頂いております。
糖質はむしろある程度は摂取したい。120gくらいであればまったく問題無いと実感しているので、ご飯茶碗2~3杯は1日の中で食べてもらって大丈夫です。
ただ、脂質のカットは意識したい。ということでどれくらいの脂質を摂取すべきか、簡単な計算で求めてみたいと思います。
目標とする体重と体脂肪率を明らかにする。
例えば、ある女性が体重50kgで体脂肪率20%を目標にしたとします。
ここから、体脂肪を除いた身体の重さを求めます。50kgのうち20%が体脂肪の重さなので、残り80%がそれを除いた重さですね。
ということは50kg×0.8=40kgとなります。これを除脂肪体重と言います。
この除脂肪体重に30をかけます。いくつになるかというと、1200です。これが目標摂取カロリーです。
除脂肪体重から必要脂質を割り出す
次に、脂質はこのカロリーの25%~30%くらいにおさめたいので、ここでは少し緩めに30%で設定していきます。
1200kcalの30%なので360kcal。これを脂質で摂取していきます。
脂質は1gにつき7kcalとも9kcalとも言われます。摂取の時は9kcalで消費の時は7kcalなど色々な説が飛び交っていますが、7~9kcalの間であるということは間違いないので、その範囲必要脂質の範囲を求めます。
360を7と9で割ると40~51となります。40~51gが摂取すべき脂質となります。
ちなみに厳しく25%で同様の計算を行うと33~43gが必要脂質となります。
タンパク質の摂取が板についてきたら次は脂質のカット。
簡易的な計算で自分の必要量を算出し、その量で日々の食事での脂質を調整しよう。
お米はちゃんと食べよう
お米はちゃんと食べましょう。
先ほど糖質は120g欲しいと言いました。それくらいの糖質は摂取してもらって大丈夫です。
ご飯で言えばお茶碗2~3杯くらいにあたる。普段食べている糖質の量を把握し、調整していきたいですね。
・タンパク質を体重の1.5倍g摂取する。
・脂質は計算して算出した値の範囲に調整する。
・ご飯はちゃんと食べる。
ここまで全て「三大栄養素」の話しのみだ。
週に2回は「辛い〜」を感じよう
運動の強度は「うぅぅぅう辛い〜」くらいでちょうど良いです。軽すぎると食欲が出てきて結局食べてしまうのでカロリーオーバーになりがち。
ただ、毎日筋トレやりまくれ!と言われたらそうじゃない。週に2回くらいで良いから「辛い・・・けど頑張った!」となるくらいやってみましょう。
世界中で大人気のフィットネスブレンダーの動画は30分ほどで十分な運動が出来るのでおすすめです。
「ととのえて、からだ。」に来てくださる方は基本的に週1回。セッションでしっかり筋トレと食事の確認をし、残り1回は自分でやってみる。その繰り返しで良い習慣を作りあげることを目標にしています。
ちゃんと運動すること。綺麗な身体に進化していこう。
余裕があれば「自分が何をして何を食べている人間か」を把握しておこう
人間は習慣の生き物であると言います。だからこそ「どんな習慣に支配されているのか」を把握するのは大切です。
最初はざっくりで良いので
A.何時に何を食べたのか
または
B.何時に何をしたのか(起床から就寝まで)
を紙に書き出してみることをおすすめします。1週間ほどやってみて自分を客観視した時にどう感じるか?結構面白いですよ。
自分を自分の管理下に置こう。
女性特有の「痩せにくい時期」について
女性には生理などで痩せにくい時期というのが存在します。それは身体を守ろうとする反応だから仕方のないことでもあります。
上手に付き合っていくことで理想の身体には徐々に変化していくはずです。
男性以上に波があるのは確か
男性以上に体重に波があるのは確かです。簡単に3kg4kgと上下します。
こういった上下に感情を支配されてしまうのはよろしくないです。人間が行動するには「思考」「本能」「感情」のどれかが必要。ここはぐっとこらえて、波があるのは確かだと認め、淡々と食事と運動を続けていきたいものです。
いかに穏やかに、いかに遠くまで
食事と運動をととのえ続けることにより、波はダウントレンドになり、そして上下の変化も穏やかになってきます。ので、波の上下に振り回されることなく、行動をしっかりと起こし、続けること。
そうすることで波をいかに穏やかに、いかに遠くまで届かせるか(つまり継続させるか)がポイント。やはり身体と向き合うには長い目が必要ということですね。
「痩せる」ことが本当の目的かどうか?
ダイエットというのは、本当の目的を達成させるための手段にすぎません。ダイエットをしたい本当の理由は様々ですよね。
・彼氏に振られた理由が「付き合う前は良かったのに・・・デブはちょっと・・・」と言われた
・好意を抱いていた女性との初デートに「みっともない身体」と言われて連絡が途絶えた
こういった経験からダイエットするようになる人もいれば
・自分自身がコントロール出来なくて自暴自棄になることが多い
ということからダイエットを手段として選んでいる人も。
本当の目的はどこにあるのか?それをはっきりさせることによってダイエットが加速しますし、そこが無いと軸がぶれたり数値に気分を左右されたりします。
目的がはっきりしていないと長続きしない
それに、目的がはっきりしていないと「痩せないからやめよ〜」となってしまうのも非常に早いです。
なんとなく始めて目的がしっかりと明確になってくる人もなかにはいますが、「なんとなく痩せなきゃヤバい症候群」の人は少しチャレンジして何も変化が無いからすぐやめるということを繰り返す傾向にあります。
どうしてあなたは痩せたいのですか?それはなぜですか?それはどうしてでしょう?
目的をはっきりさせるために、「どうして?なぜ?」と自問自答してみることをおすすめします。先ほどの例で言うと
・ダイエットしたい
「なぜ?」
・彼氏に振られた時「付き合う前は良かったのに・・・デブはちょっと・・・」と言われたから
「他の友達に言われたら決意しなかった?」
・多分しなかった、彼が好きだったから
「じゃあ、今回もし私の方が熱が冷めていたらダイエットを決意していないよね?それでもなぜダイエットしたいの?」
とこうして掘り下げていくことをしていきます。すると、意外にもダイエットする必要が無いという答えに行き着くことも。
私は身体を変えるお手伝いをしていますが、何もそれだけ(痩せること、ダイエットすること)が正解ではないはずです。身体を変えるのが何かの「手段」であるだけで、本当の目的ではありません。
だからこそ、手段という表面にあるものではなく自分の「なぜ?」に向き合うことを大切にして欲しいのです。
つみかさねて、小石。
ダイエットで痩せない人は、大きな石でいきなり高い塔を作ろうとします。しかしそれでは崩れることが目に見えている。
そうではなくて、食事、運動、そして自己管理。小さな小石を積み重ねるように毎日を過ごしていると、それがいつのまにか高い塔になっているというのが理想。
その方法が分からなければ一緒に誰かとやってみる。近くの専門の人に頼んでみる。そうして「目的」と「手段」を一致させる。
私も、自分の生活や感情を客観視してみて(毎晩手帳に書いてます)分かったこと、たくさんあります。
「どうしてスクワットの指導の場面で、この言葉でお客様に話したのか?他の言葉を使った言い回しはなかったのか?他の言葉を使った際の伝わり方はどんなだったか?」
と色々自問自答すると、次の日の活力につながってくるんです。
ダイエットだろうと幸せな生活だろうと、一瞬で勝ち取るようなものではありません。小石を積み重ねるように、ひとつひとつ、自分の言動を大切にしていきたいですね。

東京学芸大学では、保健体育を専攻し、その後、日本ホリスティックコンディショニング協会ホリスティックコンディショナーの資格をとり、パーソナルトレーナーになる。活動歴7年。累計1000人以上のセッションを行う渋谷のパーソナルトレーニングジム「ととのえて、からだ。」の代表トレーナー。解剖学や生理学、栄養学など知識が豊富。